2016-05-28
すずしろ日記 : 山口晃
『すゞしろ日記』 山口晃
三浦しをんさんの小説『風が強く吹いている』単行本の表紙絵が好きだ。ものすごく上手い、のに何か可笑しい。古典の香りもありつつ新品くさい。ものすごく手が込んでいるのに、「ぷす~っ」と空気が抜けるように軽い。面白くて、ず~っと飽きずに眺めていられる。その表紙絵を描かれたのが山口晃氏。
墨一色の筆づかいも流麗に高名な画家先生の優雅で華やかな交遊と暮らしぶり(妄想)を描いた「元祖 すゞしろ日記」に、「元祖~」よりぐっとくだけた「UP版すゞしろ日記」、他雑誌の特集記事のために描かれたものなど収録。
何しろ小さなコマにぎゅうぎゅうに書き込まれた文字を読むのに難儀するが、当時30代の人が描いたとは思えない古めかしさ(氏の生まれ年を考えると年相応の昭和臭とも言えるのか・・・)、どうでもいい話題の〝どうでもいい具合”とそこに添えられた氏のユーモラスな自画像が心地いい。
何度か登場する『グルメ篇』。食べ物がどれも美味しそうだ、というか食事を楽しむ山口氏ご夫妻の様子が良いせいで、出されているものがよけい美味しそうに見える。作中ではご自身の小市民的な姿を強調しておられるが、おそらく庶民ではちょっと気の張る高級店ではないかと思われるお店で、程よく寛いで美味しい食事を楽しんでいるその鷹揚さは、小市民どころか太平の世のお殿様クラスだと思う。何だか内田百閒の随筆を読んで感じた百閒先生という人の上等さに似ているような気がする。
『縁側に二時間おきっぱなしのぬるま湯のような境遇に育った』というユルさは本当のことかもしれない。だけど、そういう人には色々のお世話をやいてくれる人が不思議とあつまってくるんだよねぇ、きっと。
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三浦しをんさんの小説『風が強く吹いている』単行本の表紙絵が好きだ。ものすごく上手い、のに何か可笑しい。古典の香りもありつつ新品くさい。ものすごく手が込んでいるのに、「ぷす~っ」と空気が抜けるように軽い。面白くて、ず~っと飽きずに眺めていられる。その表紙絵を描かれたのが山口晃氏。
墨一色の筆づかいも流麗に高名な画家先生の優雅で華やかな交遊と暮らしぶり(妄想)を描いた「元祖 すゞしろ日記」に、「元祖~」よりぐっとくだけた「UP版すゞしろ日記」、他雑誌の特集記事のために描かれたものなど収録。
何しろ小さなコマにぎゅうぎゅうに書き込まれた文字を読むのに難儀するが、当時30代の人が描いたとは思えない古めかしさ(氏の生まれ年を考えると年相応の昭和臭とも言えるのか・・・)、どうでもいい話題の〝どうでもいい具合”とそこに添えられた氏のユーモラスな自画像が心地いい。
何度か登場する『グルメ篇』。食べ物がどれも美味しそうだ、というか食事を楽しむ山口氏ご夫妻の様子が良いせいで、出されているものがよけい美味しそうに見える。作中ではご自身の小市民的な姿を強調しておられるが、おそらく庶民ではちょっと気の張る高級店ではないかと思われるお店で、程よく寛いで美味しい食事を楽しんでいるその鷹揚さは、小市民どころか太平の世のお殿様クラスだと思う。何だか内田百閒の随筆を読んで感じた百閒先生という人の上等さに似ているような気がする。
『縁側に二時間おきっぱなしのぬるま湯のような境遇に育った』というユルさは本当のことかもしれない。だけど、そういう人には色々のお世話をやいてくれる人が不思議とあつまってくるんだよねぇ、きっと。
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