2015-10-31

屍者の帝国

劇場版アニメ『屍者の帝国』 監督:牧原亮太郎

 今年の私の夏はすっかり『屍者の帝国』に支配されてた。文系脳ではうまく読めなかった気がする物語を少しでも理解するために理系本を読んだりして・・・。


 テレビに流れる予告CFを見た時から、「小説とは別物なんだな」とわかってはいたのだけど・・・ひと夏を費やしてもまだ消化しきれていない物語をもう一度味わいたいという気持ちにひきずられて、公開終了間際に観に行った。で、かなり満たされない気持ちで帰ってきた。

 ワトソンたちと旅を共にし通訳と記録を担当する「言葉」に能力を特化した屍者・フライデーや、ワトソンを屍者の一群を率いるカラマーゾフの元に導くロシアの諜報員・クラソートキン・・・私の頭の中では、きっちりと髪を撫でつけた有能で落ち着いた青年の姿をしていた彼らが、頼りないくらい華奢な身体に金色の巻毛をふわっふわさせた有能だけども癇のつよそうな少年(子供)にしか見えないことに、まずは違和感を感じる。でも、まぁこれは、想定される観客の年齢層より私がかなりトシくってるってことなんだろうと諦める。

 小説では、「追うごとに姿を変える謎」が屍者技術の秘密を追う旅の推進力になっていたが、映画ではそれがワトソンの「フライデーへの執着」になってしまい、物語がずいぶん単純化されてしまったような気がする。でも、まぁそう思うのも、想定される観客の年齢層より私がかなりトシいってるせいなのかもしれない。

 ただ一つ、私の年齢問題云々にかかわらず残念だったのは、「旅」の描き方。ヴィクター・フランケンシュタインの遺した「ザ・ワン」「ヴィクターの手記」を追い世界中を駆けるワトソンたちの旅、フライデーがワトソンたちと時間を共にする長い長い旅・・・。その「旅」こそがこの物語の重要な要素だと思うのだけど、この映画では、登場人物たちは「移動」はするが「旅」はしていない。出来事よりも道のりを丁寧に・・・もっと「ロードムービー」としての風情が欲しかった。


【過去記事】
『屍者の帝国』感想・・・http://neconohitai.blog71.fc2.com/blog-entry-726.html


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theme : 映画感想
genre : 映画

2015-10-24

文系の壁 : 養老孟司

『文系の壁 理系の対話で人間社会をとらえ直す』 養老孟司

 解剖学者・養老孟司氏と4名の〝理系の知性”との対談。

 理系的なセンスを身につけたくてこの夏取り組んだ課題『理系本を読む』。理系のセンスなんて一朝一夕に身につくものではなく、この先長くつきあっていかなくちゃいけない課題だけども、いつまでも理系本読んでると他に読みたいものも読めないので、一応の中締めのつもりで読んでみた一冊。

 のっけから「やっぱりそうなのかっ!!!」と驚き半分、やっぱり!感半分だったのが、森博嗣氏の「僕は言葉で考えていません」という発言。氏の思考の大部分は映像であり、数字を扱う場合も座標や形で考えるのだとか。そこに言葉が介在する必要は無いんだな・・・森氏の場合。

 この夏読んだ理系本に載っていたたくさんのグラフや図。読者の理解を助けるために載せられているはずのそれらの図やグラフの意味するところがちっとも理解できなくて閉口した。文系の私は図やグラフを理解するためにはそれらを一度「言葉」に置き換えなければならず、残念ながら私の頭の中にはそのための翻訳ソフトが入っていなかったのだ。「理系」といわれる人の多くはその翻訳作業を必要としない人たちなのかな・・・?

 社会と関わる上での新たな視点の獲得ということをひとつのキーにして交わされる理系人の対話。その新たな視点を、理系はテクノロジーや目の前の生な現実から、文系は言葉によって獲得する。読みながら、理系とは目の前の現実・現象からダイレクトに事実を理解するセンス、文系とは目の前の現実・現象から物語をつくるセンスなのかな・・・と思う。

 でも、社会との関わりということで言うなら、問題は理系か文系かということではなく、ちゃんとものを考えているかそうでないかということなんだろうな、というのも本書を読んで感じたことではある。


第一章 理系と文系-論理と言葉
     森博嗣 × 養老孟司
第二章 他者の現実を実体験する技術で、
    人類の認知は進化する  
     藤井直敬 × 養老孟司
第三章 「唯脳論」の先にある、なめらかな社会の可能性
     鈴木健 × 養老孟司
第四章 ジャーナリズムか、生き物そのものを見るか 
     須田桃子 × 養老孟司  


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genre : 本・雑誌

2015-10-04

泣き虫弱虫諸葛孔明 第四部 : 酒見賢一

『泣き虫弱虫諸葛孔明 第四部』 酒見賢一

 あれ? 何か孔明が常識人になってる? 第三部までは「天才」とか「腹黒」とかいう人間世界の価値基準なんて超越した不気味で変態的な人物として大活躍してきたのに、第四部では真面目に堅実に蜀の国盗り&国づくりなんかしている。まるで、ちゃんとした軍師みたいだ。

 関羽の死のくだりなんて、吉川英治の『三国志』を読んだときでさえ「孔明って煙たい関羽をあえて見殺しにしたんじゃないの?」って思いたくなるような薄ら黒さが漂っていたのに、ここでの孔明は関羽の行く末を予見できず、むざむざ死なせてしまった自分の至らなさを悔やみ反省したりして・・・。

 「ちゃんとした歴史物語」っぽくまとまったこの「第四部」の中で、巻末の劉備の死の場面だけは異様だ。

 死の床にあって、蜀の国は『孔明が運んで取らせてくれた、一種の幻のような国』『まるで魔法でつくられたような、なんだかいかがわしい国であった。』と思う劉備の虚無感のようなもの。劉備と出会った日を思い『劉備を拾って、サルを人がましくしたのは、何故だったろう。』と自問する孔明の内なる「虚ろ」。

 周瑜、曹操、関羽、張飛らスーパースターが去り、魯粛、呂蒙、荀彧、夏候惇、馬超ら名のある人物たちも死んだ後、残された孔明は最後に何をカマすのか・・・。次巻が待たれる。

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