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2015-02-28

五郎治殿御始末 : 浅田次郎

『五郎治殿御始末』 浅田次郎

 幕末から明治維新への激動期、否応なく変わっていく時代の流れのなかに呆然と立ち尽くす武士たちの心中とその生き様を描く~映画化された「柘榴坂の仇討」を含む短篇6篇。

 政治的、軍事的、文化的なものだけでなく、時刻や暦といった生活感覚の部分まで古いものを捨て、新しいものにあわせることを皆が突然強いられた時代。自分の信じてきた価値観がもはや通用しないこと、自分が世の中で無用のものとなっていくことを見つめざるをえない不安と無力感は、グローバリズムの波にあらわれて、生活の中の小さな違和感を日々解消していかなくてはいけない現代の私たちにも、ごくうっすらとゆるやかにではあるが感じられる感覚なのではないか。

 武士としての在り方、拠りどころをあまりに突然に否定されてしまった、その苦難の中でも人としての芯の部分の健やかさは失うまいと踏ん張ったのであろう侍たちの心が、五郎治が形見に残した“笑いぐさ”の付け髷に凝縮されているようだ。


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