2014-12-27

忘れられない一冊 : 週刊朝日編集部・編

『忘れられない一冊』 週刊朝日編集部・編

 三浦しをんさんが異彩を放っている!

 主に文筆を生業とする著名人たちの「忘れられない一冊」。多くの人が人生の節目節目で出会った本や、忘れがたいシチュエーションで読んだ本、大切な人や時間の記憶と分かちがたく結びついている一冊を挙げている中で、しをんさんが披露するのは「ウン○を食べる話」の話である。

 小学生の頃に読んで感銘を受けた(感銘を受けたのか?!)、平安貴族の男が恋しい女のウン○を食べる話について、「あれは何と言う作品だったか?」と首をひねるしをんさん。しんみりと感動的なエピソードが並ぶ中に「ウン○を食べる話」の話とは! 一瞬言葉を失ってしまう。

 しをんさんほどの読み手ともなれば、「忘れられない一冊」なんてたくさんあるだろうに、よりによって、よりによって・・・(笑)。でも・・・ここにしをんさんの「ウン○を食べる話」が収録されていることを思うと、じんわりとお腹の中から力がわいてくるような気がするのだ。

 人生なんて何もそんな深刻なばかりのモンじゃない。「ウン○を食べる話」のことが気になって仕方がない、昔読んだ「ウン○を食べる話」について〝あれは何であったか・・・”と時折思い出しては考えている、そんな一時もある。人生ってそんなもんだよって・・・。


 それから・・・「夢の中で手に入れた本」について、まるでそれが実在するかのようにありありと語ってみせた吉田篤弘氏の「思わぬ収穫-夢の中の古本屋で」も、奇妙で面白い話であった。



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2014-12-20

鳥少年 : 皆川博子

『鳥少年』 皆川博子

 情念と情欲とその先にある闇をたっぷりと滴らせる十六の短篇。いびつでおぞましく、しかし底なしの引力を持つ物語群。

 濃い情念の世界・・・と言えば、皆川博子氏とともに赤江瀑氏の作品が思い浮かぶのだが、赤江氏の描く闇が理性的で平穏な日常がふと破れた隙間にのぞく不穏な闇であるのに対して、皆川氏の闇はもとから日常とは次元を異にする不条理で混沌としたものであるような気がする。それは、(収録作の大半で主人公となっている)女性というものの持つ不可解さ、原初性によるものでもあるんだろうか。

 収録作の中では、閉塞感漂う地方の町で少年少女が体験する出来事が語られる「バック・ミラー」の、その出来事を見て、語っているのは一体誰なんだ!?っていう悪酔い感がたまらんかった。



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2014-12-13

四十七人の刺客 : 池宮彰一郎

『四十七人の刺客』 池宮彰一郎

 「侍は戦士である。戦士の本分は戦いに勝つことにあり、常に戦場に身を置く心構えと、非常に備える構えを持たなければならない。」~侍の生き方を自らに問い、平時より非常時にそなえ一人ひそかに策を行い続けた大石内蔵助。もしも赤穂に何事も起こらなければ、大石の生涯は昼に灯した行燈の火のままで終わったのかもしれないが・・・。

 主君の切腹、御家断絶・・・赤穂藩に降ってわいた凶事に、吉良・上杉・柳沢を敵と見定めた大石が猛然と牙を剥く。

 赤穂浪士の吉良邸討入りを、「忠義」とか「大義」とかいう大時代なものを一切取り払って、純粋な戦争として描いた小説。大石が次々と打つ冷徹で非情な策が、武の名門・上杉家を追い詰める。

 大石が率いる浪士たちについても、涙をさそうちょっといい人情話なんてのはなく、皆、クールな戦士である。ただ、その戦士たちが、「侍の一分」といいながら、つまるところ「ただ生きるのではなく、よく生きる」「爪痕を残す」なんていう個人としての自己実現への欲求を口にするのが、私の個人的な好みからすると、ちょっと気持ち悪い。己を捨てて何かに殉じるという従来の「忠臣蔵」の美学とは対極にあるものを描こうとしたのだろうということはわかるのだけど・・・。



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2014-12-06

これが本当の「忠臣蔵」~赤穂浪士討ち入り事件の真相 : 山本博文

『これが本当の「忠臣蔵」 赤穂浪士討ち入り事件の真相』 山本博文

 赤穂浪士の吉良邸討入り事件を、残された史料~当時の調書、関係者たちの覚書、手紙などを参照しながら読み解いていく。

 自分で古文書が読めるわけではないので、史料の選択も、解釈も著者の考えをまるっと受け入れるしかないのがもどかしいといえば、もどかしい。浅野内匠頭正室・瑶泉院の用人・落合与左衛門による『江赤見聞記』をはじめ様々な史料がひかれているが、新書ということもあって、その内容はかなり噛み砕いて紹介されているので、原史料から感じられるであろう武士の社会のしかつめらしさが味わえない。

 とはいえ、史実としての赤穂事件のあらましを一通り頭に入れるという意味では、読みやすくわかりやすい。

 著者が数々の史料から読みだしたのは、赤穂事件を貫く「大義」と「武士の一分」という価値観、「大義」と「武士の一分」を貫くため、討入りの日を期して一途に行動した浪士たちの姿。筆頭家老として、まずは家名の存続を、その望みが絶たれた後は公儀の片手落ちの裁定の是非を問う行動に出た大石内蔵助の「大義」。主君をむざむざ切腹させたまま生き延びては・・・と、命よりも「武士の一分」を重んじた浪士たち。

 ・・・やっぱりそうなんだろうか。

 「忠臣蔵」を題材にした文芸作品には様々に穿った見方をしたものや、奇想天外な着想で書かれたものがあって、読んでいるとそれぞれに説得力がある。で、「大石内蔵助って実は討入りなんてしたくなかったんじゃないの?」と思ったりもしていたのだけど・・・。何か、原点にもどった気分です。

 赤穂事件は色々に解釈できるのだと思うけど、四十七人の浪人が吉良邸に討ち入り、多くの人を殺したのは事実であって・・・。戦さの世の遠くなった時代に、こんな本気の戦闘の計画を一年十ヶ月もの長い間ひそかに練り続け、実行した浪士たちの孤独とその異常さを思うと、ぞっとすると同時に悲しくもなる。

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