2014-03-29

森見登美彦の京都ぐるぐる案内 : 森見登美彦

『森見登美彦の京都ぐるぐる案内』 森見登美彦

 四月初旬に京都に行く予定である。京都には、修学旅行で2回、家族旅行で数回、学生時代に友人と1回行ったことがあるが、どれも同行者の立てたプランに沿って観光をしただけなので、いまひとつ何かを見たという実感が薄い。今回は一人旅。『森見作品の舞台になった京都』を味わうのを目的の一つにしようと思う。

 吉田山に登り、鴨川デルタに立ち、糺の森に憩い、哲学の道の桜に染まり、胴の長いケモノが振り返りそうな路地を抜け、四条大橋の上で空を見上げ、夕闇を走る叡山電車を眺めてみたい。

 立ち寄るべき場所を見出しと写真で確認し、添えられた小説の一節からその作品世界を反芻する。二つの摩訶不思議エッセイ「登美彦氏、京都をやや文学的にさまよう」「京都捻転紀行」を読んで、“これから訪れるのは現実を捻転させた妄想的京都である”と、そこに遊ぶための心胆を練る。

 ただ、ガイドマップとしては少々頼りないので、実際の町歩きにはJTBのガイドブックか何かを携帯しようと思う。




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theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

2014-03-22

またお会いしましたね ~ 夢幻紳士 新・怪奇篇 : 高橋葉介

『夢幻紳士 新・怪奇篇』 高橋葉介

 『また お会いしましたね』 

 帯に書かれたこの言葉に目がとまった瞬間に本屋の棚の前で金縛りにかかってしまった。それはもう、ヘビに見込まれたカエルみたいに。あの黒衣の青年の目がこちらを見ているんですから。夢見がちな娘なら誰だって、彼が目の前で名乗ってくれるのを心待ちにしてるんだから。

 魔実也氏の設定は初期の「怪奇篇」のものに近くなってるのかな。現実世界に知人も友人もいる、この世で生活してる魔物。

 魔実也氏の往くところには、自動人形の少女、沼のまわりをぐるぐる回りづつける心中者、隠れんぼの小鬼、死体の持ち物を運ぶ鴉、吸血鬼、蟲になった兄妹・・・この世の裂け目の向こう側の、妖しい、恐ろしいものたちが姿を見せるが・・・。

 『僕と一緒にいれば まったく安全というものですよ』

 謎めいた黒衣の青年に、恐ろしい悪夢から救われた女の子たちは、いつか成長して大人になっていくけれど、魔実也氏は歳をとらない永遠に謎の青年のまま。


 『またいつか どこかでお会いしましょう』

 私がおばあちゃんになったとき、また魔実也青年に会いたいものだなぁ・・・と思う。




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theme : 漫画の感想
genre : 本・雑誌

2014-03-15

劇場版 TIGER&BUNNY - The Rising

 TVシリーズは見ていないので、動いて音の出る『タイバニ』を見るのは『The Beginning』のTV放映を見たのに続いて2回目。もちろん、見どころは色々と♪あるんですが、まずシンプルにヒーローアクションものとして面白いのねぇ~。

 ファイアーエンブレム・・・トラウマ克服のくだりは見ててちょっとムズムズしたけど、能力発動シーンはやっぱカッコいいわ。予告編を見て惚れ惚れしてたのよ。で、「オカマは最強!」はいいとして、「強い男の人」とか「優しい女の人」っていうのは、私、見たことがないような気がするよ、パオリン。

 新キャラクターのライアン・ゴールドスミス・・・彼、すごくいい奴でした。状況判断は的確だし、力もあるし、バーナビーとのコンビでの戦い方も心得てるし、虎徹と離れてカリカリしてるバーナビーを上手く受け流しつつ、きっちり成果を上げる大人力も持ち合わせてるし。バニーちゃんより年下なのに。あの、ちょっと鼻持ちならないキメ台詞も彼の能力の特性からして必然的な演出でしょ。職業ヒーローとして、すごくプロ意識高い方とお見受けしました(それプラス、バーナビーの自主パトロールにもちゃんと同行してるしね)。私、彼、好きです。このままヒーローTVで活躍してくれればいいのに。オレ様キャラがいてもいいじゃん。

 このトシでアニメ映画観に行くのはちょっと、いろいろと・・・アレだったのですが・・・『それも含めて自分』、てね。

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theme : アニメ
genre : アニメ・コミック

2014-03-08

しらない町 : 鏑木蓮

『しらない町』 鏑木蓮

 人が「生きた」「生きている」ということを精一杯肯定しようとするかのような優しい小説だった。

 映画監督になるという夢に指先すら届かないままアルバイトに明け暮れる青年・門川。アパートの管理人として、帯屋史朗という老人の孤独死を目の当たりにした門川は、帯屋老人の遺品の中に、ある女性の姿を生き生きと写し取った8ミリフィルムと、謎めいた言葉を記したノートを見つける。

 帯屋老人の残した謎を追うミステリーの味わいを帯びてストーリーは進むが、そこからしみじみと溢れ出すのは、人が生きるということへの祈りに似た想い。

 一人孤独に亡くなった老人も、一生口にすることのできない秘密を抱えて人生を送る人も、かなわぬ夢を追い途方に暮れる若者も・・・自分の人生を生きた、全ての人の生は肯定されてあれかしという想い、祈り、願い。そして、人には誰しも人との関係を紡いで生きていく力があるはずだと語りかけてくるかのようなストーリー。本当に優しい。





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theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

2014-03-01

キアズマ : 近藤史恵

『キアズマ』 近藤史恵

 『サクリファイス』『エデン』『サヴァイヴ』と連なるシリーズを通じて築かれてきた世界の安定感を信じて一気にストーリーに入り込める。読み終えてみると、サスペンス色の強かった『サクリファイス』『エデン』とは違い、割と直球の青春小説だった。

 舞台は部員5人だけのある大学の自転車部。入学早々に関わったあるトラブルの為に自転車部に入部することになった岸田。ガラは悪いが、人懐こく、競技に関してはストイックな実力者である2年生櫻井。部長の村上、3年の堀田、2年の隈田。

 いかに身体能力が高いとはいえ、競技用の自転車に初めて乗った初心者が、曲がりなりにも何年かの経験を持つ先輩をあっさり抜き去ってしまうというのは・・・あんまりなんじゃないかなぁ、と思う。でも、そんなことよりも重要なのは、心の一部を自ら閉ざしていた岸田の前に、新しい世界が一気に開けてゆく感覚なのだろう。ガラリと景色を変えていく世界のスピードが、走り抜ける自転車のスピードに重なる。

 嵐のような激しい何かに巻かれながら、コントロールのきかない高揚感の中で様々な出来事に出会う青春の時間。嵐の時間が過ぎ去った後、何かを知り、何かを失い、それまでとは少し違う自分になる。自転車部に入ってからの1年を「今となっては熱病のようにしか思えない」と振り返る岸田が切ない。

 語り手は岸田だが、物語をひっぱるのは、何かを隠し、何かに耐えているような櫻井のどこか痛々しい姿である。彼には『青春』だけでは昇華されない、まだまだ深いドラマがありそうなのだが・・・。自転車部を去った堀田や、一見人のよさそうな隈田や村上にも秘められた感情はあるだろう。それらがいつ大小の嵐になって表れてくるのかとヒヤヒヤドキドキしていたのだが、今作では表面化することはなかった。いつか描いてくれるだろうか?







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