2013-12-28

極楽長屋 : 岡田屋鉄蔵

『極楽長屋』 岡田屋鉄蔵

 世間からはじかれたものたちの吹き溜まり、地獄のような極楽長屋の住人達の人情話。どうにもならない事情を抱えた人たちのお話しですから、切なく悲しい結末もちょっとは覚悟しながら読んだのですが、ラストは寂しくもじわっと温かくて、ほっとします。

 定町廻り同心と見世物小屋の太夫のお話~二話目の「怪童子と熊」に登場する五尺八寸の女形・金太郎太夫がもうね~すごく良いキャラクターです。女らしくて、男らしくて、優しくて、可愛らしくて、逞しくて、三浦屋の揚巻が十八番の金太郎太夫。私も太夫に癒されたい~。


 町の人々の中に、眼鏡の色男がいる!と思ったら、あれは『ひらひら  国芳一門浮世譚』の藤太郎兄さん?




FC2 Blog Ranking
スポンサーサイト

theme : マンガ
genre : 本・雑誌

2013-12-22

ひらひら 国芳一門浮世譚 : 岡田屋鉄蔵

『ひらひら  国芳一門浮世譚』 岡田屋鉄蔵

 武者絵で一世を風靡した歌川国芳一門の浮世日記というか、これは・・・ちょんまげ色男たちの豪華グラビア! 藤太郎兄さん(歌川芳藤)の、丸眼鏡の奥の切れ長の眼差しから放たれる色気がヤバい。国芳のパトロン・遠州屋佐吉さんのタレ気味の三白眼に厚みのある唇なんて、何かもう凄いくらいの・・・。

 身投げしたところを国芳に拾われた若者~五歳の年から十五年間を父の仇討だけに費やして、人間らしいことを何一つ味わうことなく過ごしてきた田坂伝八郎の話が軸になる。過去に脅かされ、どこか虚無的だった伝八が、師匠、兄弟子、姉弟子、おかみさんたちに見守られ、浮世のすべてを糧にして絵を描く、「芳」の字を背負う絵師になるまで。

 国芳が懐に入れた伝八は何やら謎の過去を背負った不器用者。シリアスなお話でもあるはずなんだが、とにかく師匠・国芳をはじめ一門の男前たちがよってたかって、伝ちゃん可愛いや、わっしょいわっしょいなんである。微笑ましいことこの上ない。


 続編はあるのかないのか・・・ 一門の他のキャラクターを中心にしたお話もあったらいいなと思う。




FC2 Blog Ranking

theme : 漫画の感想
genre : 本・雑誌

2013-12-14

妖説忠臣蔵 : 山田風太郎

『妖説忠臣蔵』 山田風太郎『山田風太郎妖異小説コレクション 妖説忠臣蔵 女人国伝奇』

 吉良家と上杉家との間に秘められた忌まわしき過去。上杉家の危機を救った行燈浮世之介の正体は~「行燈浮世之介」

 江戸城での変事を伝えるべく赤穂へ急ぐ早駕籠に付きまとう影~「赤穂飛脚」

 裏切り者は誰だ? そして裏切り者を斬ったのは? ~「殺人蔵」

 米沢の城の天守閣には変化が棲む?
 吉良上野介の米沢入りを阻止したい者たちの思惑は~「変化城」
 
 いつ来るとも知れぬ「その日」を待ちかね、あるいは貧苦にあえぎ、あるいは女に溺れ、堕ちていく同志を見かね、大石内蔵助の心底を質すべく京に向かった田中貞四郎が見たもの~「蟲臣蔵」

 『貝賀弥左衛門 この名をご存じですか?』~「俺も四十七士」

 巷に「上野介は生きている」という噂が流れる中、吉良邸跡に現れる白衣の老人。義挙の折、脱盟した赤穂浪人たちの不穏な動き。~「生きている上野介」


 山田風太郎が見せる“奇妙な「忠臣蔵」”。

 以前、吉右衛門さんの大星由良之助で『仮名手本忠臣蔵』七段目を観たとき、同志の苦衷、苦言、諫言は大あくびで聞き流し、廓遊びにうつつをぬかして心底楽しそうに女たちとじゃれあいながら、一方で遊女の一人や二人平然と殺してしまおうとする由良之助(内蔵助)に、「あれはもう深謀遠慮なんてものじゃなくて、ほぼ狂気だ。」と身震いしたのだが、「殺人蔵」や「蟲臣蔵」に描かれる内蔵助の怪物ぶり~豚のようにだらしなく女に戯れかかり、同志の死を平然と眺めるばかりでなく、必要とあらば手にかけることもいとわず、それでいて討入りの現場にはとても“いい顔”で立っている~は、さらに怪奇、不気味で・・・なんかこう・・・胃の腑からググッとこみ上げるものが・・・。

 地味すぎる侍・貝賀弥左衛門の「俺も四十七士」は滑稽さが妙に切ないやるせない話。人生で初めてたった華やかなステージでも、スポットライトから完全に外れてしまう弥左衛門の強烈な泣き笑い。中盤を盛り上げる悪妻との涙を誘う感動シーンも、読み終えて振り返ってみると、「いいとこは全部嫁に持って行かれちゃったんだなぁ~」と泣き笑いの顔がさらに歪む。

FC2 Blog Ranking

theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

2013-12-07

砕かれざるもの : 荒山徹

『砕かれざるもの』 荒山徹

 宇喜多秀景、八丈島より推参! 

 「予は生まれながらに将軍である」と嘯きながら、その実、コンプレックスの塊である三代将軍家光が示威の為に加賀百万石・前田家を取り潰さんと仕掛けた罠は、過去の亡霊とも言うべき者たちをも引き寄せ、事態は幕府の思惑を超えた奇怪な展開に・・・。

 一方、窮地に立った前田家は、かつての縁を頼りに、八丈島に流人として暮らす宇喜多一族に秘かに救援を求める。しかし、希望を託した剣士・宇喜多秀親を幕府より放たれた柳生十兵衛に討たれ、唯一の望みも潰えたかに見えた中、兄を殺された怒り、血縁である前田家への思い、そして何よりも「島の外を見たい」という渇望を胸に、備前中納言秀家の孫・「生まれながらの流人」秀景が八丈島を発つ。

 十兵衛率いる柳生剣士団、前田家の危機に駆けつける宇喜多秀景、秀景を導く山田浮月斎、伊藤一刀斎、幕府と前田家を相手に暗躍する第三勢力に身をおく宮本武蔵。さらに、加賀藩富田流の剣士たちに、幕府への反骨の思いを胸に京から参戦する吉岡一門、越中の忍者集団入り乱れての剣戟。

 息もつかさぬ斬り合いに次ぐ斬り合いに心拍数は上がりっぱなしなのだが、ず~っと違和感としてついてまわるのは・・・「秀景、いつの間に強くなったの?」という疑問。

 島を出るときには兄に遠く及ばぬひよっこ剣士だったはずが、嵐の海で柳生十兵衛に遭遇し漂流するところを、島の老人・弥五郎=伊藤一刀斎に救われた後は、いきなりほぼ無敵となって加賀へ向かう秀景である。その強さは痛快ではあるけれども、幾多の苦難と闘いを経て成長してゆく若者の姿を見たかった私としては、ん~ 「訳もなく強すぎだろ」とちょと不満。

 世間と隔絶された場所で、剣の腕だけを身につけて育った天然自然の純粋児・秀景は、人里離れた山中で宮本武蔵に育てられた剣士、『吉原御免状』の松永誠一郎にどこか似ているような気がする。とすると、人としての様々な感情を味わい変わっていくであろう秀景の、むしろこの先をこそ見てみたい。続編とか、予定はないのかなぁ。


 最後に登場する宇喜多秀家の気骨ある戦国ジジイっぷりがカッコよく、先だって読んだ『梟の系譜 宇喜多四代』での、あんまりな言われようが雪がれた気がした。




FC2 Blog Ranking

theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

プロフィール

やぶからねこ

Author:やぶからねこ

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

ブログランキング
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村 漫画ブログへ
カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
検索フォーム
カレンダー
11 | 2013/12 | 01
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
魂に喰い込んでます
月別アーカイブ
Powered By FC2ブログ

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ