2011-08-27

実は平家が好き。-目からウロコの「源平」、その真実

『実は平家が好き。―目からウロコの「源平」、その真実』

 昨年『平家物語』を読んだんだけども、清盛はじめ平家の人たちって、まぁ多少の奢りはあったにせよ、そんなに悪人とは思えないのよねぇ。色んな政治の局面ではなかなか大人な対応もしているし。それにひきかえ源氏の武将たちは、卑怯で残忍で野蛮なケダモノのよう。特に義経なんて、手柄に汚く、卑怯な手を使うのが得意で、正々堂々と戦うなんてはじめからアタマに無い。自分の思い通りにならないとすぐキレて、部下とマジ喧嘩。とても大将の器とは思えない実に残念な男。

 源氏方に悪評がたちこそすれ、平家が悪人に貶められるような内容ではなかったと思うんだけどなぁ~『平家物語』って。奢り昂ぶった極悪非道の悪人。貴族かぶれして猛々しさを失った情けない武士。そういうイメージってどこから出てきたんだろう。

 そういう悪評にさらされる平家の人々を弁護する。国際感覚に長け、合理的な精神と卓越した政治的センスと行動力を持った清盛の実績を再評価し、重盛、知盛、教経、敦盛、忠度、経正、惟盛ら魅力的な平家の男たちの死に様、生き様を見ることで、華麗なる一族・平家の姿を浮き上がらせる。

 内容は歴史雑学的な軽いものだけど、『平家物語』の名シーンを反芻しながら読むとちょっと感動。




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2011-08-20

聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) : 宇月原晴明

『聚楽―太閤の錬金窟』 宇月原晴明

 くはぁ~! これまで読んだ宇月原作品の中で一番難解っつ~か、“大変”だった。錬金術とか出てくると、も~わけわかんなくて。

 豪華絢爛な聚楽第-その暗黒の地下洞窟に秘められたもの。秀次が異端の伴天連ポステルとともに身を捧げる錬金術。蒼味を帯びるほどに白く冴えた秀次の顔。異端を狩る「主の鉄槌」。蜂須賀、服部~秀吉、家康が放つ乱破たち。秀吉、秀次、家康、淀君、秀頼・・・天下人たちの心に蠢く闇~その暗い闇より立ち現れ、妖しく輝く魔人・信長の姿。

 とにかく! 狂気じみた秀次よりも、怪しげな異端の伴天連や、その秘儀の数々よりも、秀吉と家康、二人の天下人の心を占める信長の姿が圧倒的なのだ。白い肌、赤い唇、時に蒼くさえ見えた瞳。この上なく華麗な暴君。

 「猿!」と呼ぶ一声に、初めて信長と会った夏の庭に、信長亡き今もつながれ続ける老いた二人~死んだ主に呪縛された下僕のまま天下をとった-『一番欲しいもの以外のすべてを手に入れてしまった』太閤・秀吉と、予め絶望した王・家康。秀次の執念と対峙する秀吉、家康・・・老いた二人の胸の内が・・・くっ、くぅぅぅぅうぅ・・・。

「猿!」 

まぎれもなくあの声。あの、全身全霊を恍惚のうちに支配する主人の呼び声だ。





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2011-08-13

田村はまだか : 朝倉かすみ

『田村はまだか』 朝倉かすみ

 読みながら感じてたのは、色気・・・だろうか。

 ススキノ、狭い小路の奥にあるスナック「チャオ!」。夜も更けて、小学校のクラス会から流れてきた男女5人が、カウンターでマスターの花輪春彦を相手に、クラス会に間に合わなかった同級生・田村を待っている。田村を待つ5人は40歳。青いものを残しながらも成熟は深まり、所々は早くも傷み崩れ始めているような。

 田村には父親がいなかった。田村の母はろくでなし。田村はいつも誰かのおさがりのジャージを着ていた。田村はうつむきがちで無口。田村はクラスの問題児・中村理香に「好きだよ」と言った。「田村は孤高な小六だったな。」 40歳になったかつての少年少女の胸の内・・・それなりの自負、懐旧の思い、後悔、多少残っている華やぎ、未練、まだ、もう少し期待してみたい未来。去来するいろいろな思いの行く先を、現れない田村に託して待ち続ける。

 
 瑞々しい輝きからも、完成された落ち着きからも遠い。寄る辺無く揺れる中年から香る~香ったところで、大してどうということもない色気が・・・5人の男女とマスターが田村を待つ店内に漂う。




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2011-08-06

百器徒然袋-雨 : 京極夏彦

『百器徒然袋  雨』 京極夏彦

 中禅寺ってこんなにノリのいい人だったっけ? 中禅寺秋彦といえば、地獄のように機嫌の悪い恐い顔・・・ではなかったか?

 京極堂シリーズは『塗仏の宴』以降ご無沙汰していたのだけど、悪ノリ気味でちょっと下世話な中禅寺に違和感。非常識な探偵・榎木津が主役を張る外伝だけに、その狂騒的な空気に中禅寺まで巻き込まれたか? いや、何と言うか・・・作者自身が京極堂シリーズの登場人物たちをちょっと離れたところから眺め、動かして楽しんでいるような・・・外伝というよりもむしろ二次創作的な、本編との微妙な距離を感じる


 「鳴釜」「瓶長」「山颪」・・・探偵が捌くのは、妖怪めいた怪しく不思議な出来事ではなく、やけにこんがらがってはいるが、欲にまみれた人間の姿が見える世俗の事件。幼児のように無邪気で破壊的な探偵が事件そのものを粉砕する。無茶苦茶である。あ~ でもこの無茶苦茶な探偵は、麗人・・・なんだよなぁ。その非常識な“王様”ぶりに魅入られてしまう元依頼人の“僕”の心理がアヤしい。




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