2010-10-16
さらい屋五葉 : オノ・ナツメ
『さらい屋五葉』 オノ・ナツメ
ああ、終わった。
剣の腕はたつものの気が弱すぎて何もできない浪人・秋津政之助と、凄みの中に大きな余裕を漂わせる不思議な男・弥一の出会いから始まったこの物語。不穏な空気が漂う中盤の息苦しさに危うくギブアップするところだったが、最後まで読むことができて良かった。
第八集表紙の政之助~何か大きなものを捨てて、少し汚れて、しかし揺るがない何かを得たような凄みと色気のある表情。第一集の気弱げな上目遣いからのこの政之助の変貌が物語の顛末を一番雄弁に語っているのだろう。
拐かしを生業とする五葉の一味であった弥一。なりゆきでずるずると巻き込まれていく政之助。戸惑いながらも五葉は政之助のかけがえのない“居場所”となり、それぞれに事情を抱える五葉の面々の間にも絆らしきものが芽生え初め・・・
政之助だけでなく、皆の居場所となりつつある五葉に影を落とす弥一の過去。
せっかく穏やかに凪ぎかけた五葉の面々の心を不穏な黒雲が覆っていくのを感じるのも、追い詰められ、壊れ、汚れる弥一を見るのも辛かった。辛い時間は長かった(まるまる四巻分くらいはずっと辛かった)。しかしそれだけに、悲しくもちょっと甘すぎるくらいの結末が傷にこっくりと沁みていく。
こういう結末で収めるなら、やはり物語の時が動き出す“見初め”のシーンは大事だろう・・・と、弥一と政之助の出会いの場面を読み返す。そんなにあざとい演出は施されていなかったけど、やはり弥一の表情と、どうみてもヤバイ人・弥一がさしだす団子は印象的。
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ああ、終わった。
剣の腕はたつものの気が弱すぎて何もできない浪人・秋津政之助と、凄みの中に大きな余裕を漂わせる不思議な男・弥一の出会いから始まったこの物語。不穏な空気が漂う中盤の息苦しさに危うくギブアップするところだったが、最後まで読むことができて良かった。
第八集表紙の政之助~何か大きなものを捨てて、少し汚れて、しかし揺るがない何かを得たような凄みと色気のある表情。第一集の気弱げな上目遣いからのこの政之助の変貌が物語の顛末を一番雄弁に語っているのだろう。
拐かしを生業とする五葉の一味であった弥一。なりゆきでずるずると巻き込まれていく政之助。戸惑いながらも五葉は政之助のかけがえのない“居場所”となり、それぞれに事情を抱える五葉の面々の間にも絆らしきものが芽生え初め・・・
政之助だけでなく、皆の居場所となりつつある五葉に影を落とす弥一の過去。
せっかく穏やかに凪ぎかけた五葉の面々の心を不穏な黒雲が覆っていくのを感じるのも、追い詰められ、壊れ、汚れる弥一を見るのも辛かった。辛い時間は長かった(まるまる四巻分くらいはずっと辛かった)。しかしそれだけに、悲しくもちょっと甘すぎるくらいの結末が傷にこっくりと沁みていく。
こういう結末で収めるなら、やはり物語の時が動き出す“見初め”のシーンは大事だろう・・・と、弥一と政之助の出会いの場面を読み返す。そんなにあざとい演出は施されていなかったけど、やはり弥一の表情と、どうみてもヤバイ人・弥一がさしだす団子は印象的。
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