2010-02-27
歌舞伎ゆめがたり : 水原紫苑
舞台の上に居るのは、遥か時の彼方にいる者たちの魂を宿らせた美しい役者。物語に閉じ込められた者たちと、今、この空間にいる役者の二重写し。
時間も、空間も、強力に歪み、弾け散る寸前のパワーを内包したその世界。時空を超えた魂は、役者の身体をかりて舞台の上の空間を侵食し、その侵食が見る者の心に及んだとき・・・舞台の先に幻の物語を見る。
勧進帳、先代萩、四谷怪談、忠臣蔵、鈴ヶ森、桜姫、籠釣瓶・・・
幻視された物語は、時に、定められた物語を演じる舞台の上の魂たちが、周到に隠したもう一つの物語のようでもある。
・・・
著者が見た幻の世界にすっかり同調し、浸ることはできないが、ここに綴られた世界は、歌舞伎がもたらすトリップ感を、舞台を観て感じるのとはまた別の形で体験させてくれる。
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時間も、空間も、強力に歪み、弾け散る寸前のパワーを内包したその世界。時空を超えた魂は、役者の身体をかりて舞台の上の空間を侵食し、その侵食が見る者の心に及んだとき・・・舞台の先に幻の物語を見る。
勧進帳、先代萩、四谷怪談、忠臣蔵、鈴ヶ森、桜姫、籠釣瓶・・・
幻視された物語は、時に、定められた物語を演じる舞台の上の魂たちが、周到に隠したもう一つの物語のようでもある。
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著者が見た幻の世界にすっかり同調し、浸ることはできないが、ここに綴られた世界は、歌舞伎がもたらすトリップ感を、舞台を観て感じるのとはまた別の形で体験させてくれる。
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2010-02-24
天神のとなり : 五條瑛
大学准教授の職も、信用も、友人も失った鏑木。今はヤ○ザに飼われ、面倒な事件の謎解きに使われる日々。泥だらけの川底に沈んだ暮らしを自ら嗤いながらも、泥の中の居心地よさを感じ始めている鏑木の周りには、同じく訳ありの男たち。
互いの痛みには触れないように、あくまでもそっけなくコーティングした深情け。惰情と諦めの中にちらりとよぎる、守ってやりたいものへの思い。明日なんてないくせに、他人の未来を心配しちゃったりして・・・。
泥の中の男たちの関係が、何だか妄想的なまでに優しい。
中でも、鏑木の助手をつとめたりもするプールバーのアルバイト店員・長身イケメンの京二と鏑木の関係はもう、“優しい”どころか“甘い”といっても過言じゃない。
助手として有能なのはもちろん、食料の買出しから身の回りの世話まで、やけにかいがいしく鏑木の面倒を見る京二。男には懐の深いところを見せるのに女にはひどく厳しい。鏑木に対する悪意のある言葉を耳にすると、なぜか機嫌が悪くなる。
一方、若い京二の将来を気遣いながらも、やっぱり京二の存在に癒されちゃってる鏑木。上等そうな京二のジャケットにそっと触れてみたり、京二が女と逃げたんじゃないかと思ってもの凄く取り乱したり、自分のマフラーで京二の涙を拭ってやったり。うひゃあ。
しかし・・・男の世界の優しさの割りに、女には異常に手厳しい。金に汚いか、男に寄りかかるしか生きる術を持たないか、どんなに頑張っても不幸な女しか出てこない。なぜだ?
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互いの痛みには触れないように、あくまでもそっけなくコーティングした深情け。惰情と諦めの中にちらりとよぎる、守ってやりたいものへの思い。明日なんてないくせに、他人の未来を心配しちゃったりして・・・。
泥の中の男たちの関係が、何だか妄想的なまでに優しい。
中でも、鏑木の助手をつとめたりもするプールバーのアルバイト店員・長身イケメンの京二と鏑木の関係はもう、“優しい”どころか“甘い”といっても過言じゃない。
助手として有能なのはもちろん、食料の買出しから身の回りの世話まで、やけにかいがいしく鏑木の面倒を見る京二。男には懐の深いところを見せるのに女にはひどく厳しい。鏑木に対する悪意のある言葉を耳にすると、なぜか機嫌が悪くなる。
一方、若い京二の将来を気遣いながらも、やっぱり京二の存在に癒されちゃってる鏑木。上等そうな京二のジャケットにそっと触れてみたり、京二が女と逃げたんじゃないかと思ってもの凄く取り乱したり、自分のマフラーで京二の涙を拭ってやったり。うひゃあ。
しかし・・・男の世界の優しさの割りに、女には異常に手厳しい。金に汚いか、男に寄りかかるしか生きる術を持たないか、どんなに頑張っても不幸な女しか出てこない。なぜだ?
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2010-02-20
絵で読む歌舞伎の歴史 : 服部幸雄
中世の風流踊りから明治の天覧歌舞伎まで、歌舞伎という芸能の歴史の中で、転換点・分岐点となった出来事、その時代を象徴する人物を、屏風絵や浮世絵を添えてやさしく語った、著者の歌舞伎への愛あふれる読み物。
当時へと思いを飛ばすような、穏やかな中にも熱のこもった語り口の心地良さもさることながら、江戸中期~後期の錦絵の見事なこと! 華やかな彩色、豪華絢爛な衣装に大道具、役者の個性的な顔貌に目を奪われるだけでなく、舞台の上の空気まで写し取ったかのような迫力に、しばし息が止まる。
現在は舞台写真というものがあるけれど、写真集として出版されているものはともかく、劇場で売られている写真の多くは、この錦絵と比べていかにも味気ない。私が舞台上に見たものと写真に写っているものは違いすぎる。歌舞伎の空間には、写真には写らないものが沢山いる。
江戸期、歌舞伎と浮世絵が切っても切れない関係にあったように、現代において歌舞伎と最も相性の良いメディアはマンガじゃないかと思うんだけどなぁ。松竹さん、思い切って筋書きの挿絵や芝居のポスターを人気マンガ家に描かせてみないかなぁ。
優れたマンガ家ならば、あの歌舞伎の舞台上にある写真には写らないモノたちまで描いて見せてくれるのじゃないかと思うのだけど。
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当時へと思いを飛ばすような、穏やかな中にも熱のこもった語り口の心地良さもさることながら、江戸中期~後期の錦絵の見事なこと! 華やかな彩色、豪華絢爛な衣装に大道具、役者の個性的な顔貌に目を奪われるだけでなく、舞台の上の空気まで写し取ったかのような迫力に、しばし息が止まる。
現在は舞台写真というものがあるけれど、写真集として出版されているものはともかく、劇場で売られている写真の多くは、この錦絵と比べていかにも味気ない。私が舞台上に見たものと写真に写っているものは違いすぎる。歌舞伎の空間には、写真には写らないものが沢山いる。
江戸期、歌舞伎と浮世絵が切っても切れない関係にあったように、現代において歌舞伎と最も相性の良いメディアはマンガじゃないかと思うんだけどなぁ。松竹さん、思い切って筋書きの挿絵や芝居のポスターを人気マンガ家に描かせてみないかなぁ。
優れたマンガ家ならば、あの歌舞伎の舞台上にある写真には写らないモノたちまで描いて見せてくれるのじゃないかと思うのだけど。
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2010-02-17
短歌という爆弾 : 穂村弘
大槻ケンヂは、『のほほん人間革命』で「『大槻ケンヂ』という、世俗のアカにまみれた希薄な精神を内包する肉塊を、~略~ 全く別の存在へと変化させてやりたい。」と言い、穂村弘は本書で「世界と自分とを決定的に変えられるような何かはどこに隠れているんだろう。」と言う。
その、止むに止まれる心の要求を突きつけられて、私は打ちのめられてしまう。
世界を一変させるために、大槻ケンヂは幻覚サボテンを食い、下着パブでウハウハし、浮遊カプセルにプカプカし、穂村弘は短歌という爆弾を手にする。そうして、彼らは世界の扉を開く鍵、世界を覆す武器への道を自分の身体で進みながら、後に続く者たちにその在り処への痕跡を残す。
でも、私は世界を変えるアイテムを手に入れられなくて困っているのではない。爆弾製造の動機~「変わりたい」「世界を覆したい」と願う心の強度が私には無い。
「我々は『大過なく生き延びるため』にこの世に生まれて来たわけではない。」という穂村氏の言葉に、“え? そうなの?”と私は本気で驚いてしまった。私には爆弾を作らなければいけない動機が無い。
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その、止むに止まれる心の要求を突きつけられて、私は打ちのめられてしまう。
世界を一変させるために、大槻ケンヂは幻覚サボテンを食い、下着パブでウハウハし、浮遊カプセルにプカプカし、穂村弘は短歌という爆弾を手にする。そうして、彼らは世界の扉を開く鍵、世界を覆す武器への道を自分の身体で進みながら、後に続く者たちにその在り処への痕跡を残す。
でも、私は世界を変えるアイテムを手に入れられなくて困っているのではない。爆弾製造の動機~「変わりたい」「世界を覆したい」と願う心の強度が私には無い。
「我々は『大過なく生き延びるため』にこの世に生まれて来たわけではない。」という穂村氏の言葉に、“え? そうなの?”と私は本気で驚いてしまった。私には爆弾を作らなければいけない動機が無い。
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2010-02-13
恋文の技術 : 森見登美彦
京都の大学から、やわらかすぎる気骨を叩き直すため、能登の臨海実験所に送り込まれた男子大学院生・守田一郎。
寂しさにまかせ、守田一郎は手紙を送り続ける ・・・ 恋に悩み“外堀を埋める友”へ、守田を苛め倒す先輩“私史上最高厄介なお姉様”へ、かつて家庭教師をしていた“みどころのある少年へ”“偏屈作家・森見登美彦先生”へ、兄を心配する“心やさしき妹”へ。友には恋のアドバイスを、最凶の先輩には一矢報いんとの心意気を、少年には大人の知識と良識を、作家には小説のネタを、妹には兄の大きさを・・・。
守田一郎は決して弱音を吐かない。この大量の手紙による『文章武者修行』は、いつの日か『恋文代行ベンチャー企業』オーナーへと成り上がるための布石なのだ。
・・・などと・・・大言壮語を吐きながら、文通相手の阿呆さ加減に怒りながら・・・ 守田一郎は途方に暮れている。
途方に暮れる自分に密かに抱く忸怩たる思い。
この忸怩たる思いを気取られまいと、なにしろ強がりながらも、ぽろぽろ漏れ出してしまう守田一郎の心に、その途方に暮れっぷりに、きゅ~んとくる小説である。
半年間、能登の地で迷走に迷走を重ね確立した「恋文の技術」は、十一月十一日大文字山に奇跡を起こすのか?
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寂しさにまかせ、守田一郎は手紙を送り続ける ・・・ 恋に悩み“外堀を埋める友”へ、守田を苛め倒す先輩“私史上最高厄介なお姉様”へ、かつて家庭教師をしていた“みどころのある少年へ”“偏屈作家・森見登美彦先生”へ、兄を心配する“心やさしき妹”へ。友には恋のアドバイスを、最凶の先輩には一矢報いんとの心意気を、少年には大人の知識と良識を、作家には小説のネタを、妹には兄の大きさを・・・。
守田一郎は決して弱音を吐かない。この大量の手紙による『文章武者修行』は、いつの日か『恋文代行ベンチャー企業』オーナーへと成り上がるための布石なのだ。
・・・などと・・・大言壮語を吐きながら、文通相手の阿呆さ加減に怒りながら・・・ 守田一郎は途方に暮れている。
夜に不安になって眠れなくなると、商店街の書店でおじいさんから借りてきた古い映画のビデオを見たりします。映画が終わると、いっそうやりきれない気持ちになる。寝ようとしても、いろいろとよけいな考えが湧き上がってきて困ります。未来が見えない。 ~『偏屈作家・森見登美彦先生へ』
途方に暮れる自分に密かに抱く忸怩たる思い。
この忸怩たる思いを気取られまいと、なにしろ強がりながらも、ぽろぽろ漏れ出してしまう守田一郎の心に、その途方に暮れっぷりに、きゅ~んとくる小説である。
でも世の中には、こういう切ない思い出をもつ人がたくさんいる、ということを知っているだけで何だかホッとしませんか。少なくとも、先生はそういうお話をたくさん知っていて、それは先生の財産です。 ~ 『続・見どころのある少年へ』
半年間、能登の地で迷走に迷走を重ね確立した「恋文の技術」は、十一月十一日大文字山に奇跡を起こすのか?
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2010-02-10
卒業生 冬~春 : 中村明日美子
草壁くん、佐条くん・・・いやねぇ、『同級生』~『冬』あたりまでは、二人の、キラキラと光って見えるような恋愛の純粋さは、目の前に未知の未来が大きく広がっている高校時代だからこそのものだと思ったのだよ。二人が別々の道を歩くことになったとき、大切な心の中の芯として、彼らの行く先を守り照らしてくれるような恋なんだと・・・。
でも、そうかぁ・・・草壁くん、君はこの恋を全うすることにしたんだねぇ。佐条くんを伴侶として、この先も一緒に行く覚悟を、決めていたんだねぇ。若いのにエライねぇ。草壁くん、君は優しいねぇ・・・ 君は賢いねぇ・・・。(佐条くんは、主体的に恋をしているというよりも、草壁くんが発する光を受けてほんのりと・・・輝いているように見える。)
そして、もう一人・・・原先生も・・・本気の恋だったのねぇ。『喜怒哀楽も露出は五割』な大人の、(失恋を噛みしめる)一瞬の本気の表情が切ないことこのうえなし。
いやぁ・・・なんとも、いい作品に出会ったときの切ない脱力感を感じながら余韻に浸っていますが、ふと浮かんでくる思いは“草壁くんみたいな息子が欲しい”っていう母親願望だったりする;;; 草壁くんみたいないい子を育てたお父さん、お母さんは素晴らしいです、ホント。
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でも、そうかぁ・・・草壁くん、君はこの恋を全うすることにしたんだねぇ。佐条くんを伴侶として、この先も一緒に行く覚悟を、決めていたんだねぇ。若いのにエライねぇ。草壁くん、君は優しいねぇ・・・ 君は賢いねぇ・・・。(佐条くんは、主体的に恋をしているというよりも、草壁くんが発する光を受けてほんのりと・・・輝いているように見える。)
そして、もう一人・・・原先生も・・・本気の恋だったのねぇ。『喜怒哀楽も露出は五割』な大人の、(失恋を噛みしめる)一瞬の本気の表情が切ないことこのうえなし。
いやぁ・・・なんとも、いい作品に出会ったときの切ない脱力感を感じながら余韻に浸っていますが、ふと浮かんでくる思いは“草壁くんみたいな息子が欲しい”っていう母親願望だったりする;;; 草壁くんみたいないい子を育てたお父さん、お母さんは素晴らしいです、ホント。
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2010-02-06
夢源氏剣祭文 : 小池一夫
父に捨てられ、母に逝かれた幼女・・・父を求めて都に向かう旅の途中、鬼に出会い、自らもいずれ鬼となる運命を背負った茨木。茨木の運命の旅を縦糸に、袴垂保輔、平将門、藤原純友、安倍晴明、藤原兼家・道長父子、源頼光、渡辺綱、金太郎らの活躍、想いを織り込んで描かれる、都に跋扈する鬼ども~目に見える鬼(権力)と、目に見えない鬼(権力によって鬼へと変じたもの)の物語。
頼光と、四天王に数えられる綱、金時の折り合いが悪いっていうのが何とも面白い。権力に使われる武士である頼光に対して、権力に屈しない己の意志と強さを持つ綱、そして、鬼に近い心情を持つ金時。物語に新味を加える対比となっている。
錚々たる人物たちによる壮大な物語。豪華な中にも太い筆でザクッザクッと描いたような、素朴で伸びやかで御伽噺のような大らかな味わいがある。
ここに細密な装飾を施したら、また違った味わいの絢爛豪華な絵巻が生まれるんじゃないか・・・という思いに応えるように、皇なつきさんによる漫画化がなされたが、こちらは掲載誌の休刊により未完のまま中断されている様子。ぜひ完結させていただきたいなぁ。
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頼光と、四天王に数えられる綱、金時の折り合いが悪いっていうのが何とも面白い。権力に使われる武士である頼光に対して、権力に屈しない己の意志と強さを持つ綱、そして、鬼に近い心情を持つ金時。物語に新味を加える対比となっている。
錚々たる人物たちによる壮大な物語。豪華な中にも太い筆でザクッザクッと描いたような、素朴で伸びやかで御伽噺のような大らかな味わいがある。
ここに細密な装飾を施したら、また違った味わいの絢爛豪華な絵巻が生まれるんじゃないか・・・という思いに応えるように、皇なつきさんによる漫画化がなされたが、こちらは掲載誌の休刊により未完のまま中断されている様子。ぜひ完結させていただきたいなぁ。
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2010-02-03
海の底 : 有川浩
突如、横須賀に上陸し人間を襲い始めたエビ状の巨大生物。エサとして喰われる人間、巨大エビに蹂躙される街は地獄と化す。
命を懸け、知力を尽くしてこの事態に対するは ~ 二人の海自隊員・当たりはソフトだが言うことやることは辛辣な冬原と言動は荒っぽいが中身はナイーブな夏木。日本という国の組織内では鼻つまみ者だが、やたらと仕事ができ己の魂に従って動く男・警察庁烏丸参事官に神奈川県警明石警部。熱き血潮の機動隊員。気弱だが研究者としての意地は頑なな海洋生物学者。
逃げ場を失い、冬原・夏木と共に潜水艦『きりしお』に立てこもった13人の子供たちが抱える、ズバリ10代的な諸問題も『きりしお』内外の事態を緊迫させる。そんな中、夏木と少女・望の間に流れる仄かな感情。
この非常時にも日和見を続ける官邸、無責任な大騒ぎを演じるマスコミに歯噛みしながら、プライドを懸けて戦うアツい男たち~もう、様式美といっていいその格好よさにはテンション上がるし、謎の巨大生物攻略の駆け引きにも興奮した。
面白かった!・・・のだが、以前『塩の街』を読んだ時と同じく、微妙に不機嫌になってる。
何故だ? いい男が普通の女子高生と易々と甘~い恋におちてしまうのが気に食わないのか? BLならば結構甘いのも平気なんだがな。
・・・いや、違うんだ。女の子が恋の主役だから気に食わないんじゃないんだ。
基本的には良い子な少女の、年上の男に許してもらうのが前提の未完成さ(例えば、ヒロイン・望は料理ができない。料理が出来ないのが問題なんじゃなくて、望の未熟な部分が“料理が苦手”ってことで象徴されてるんだと思うけど、彼女の料理下手は大人の男たちからは不問に付されている。)や、基本的に有能なはずの成人男性の、少女に受け入れられるのが前提の不器用さ~その辺の書かれ方がやたらと甘ったるいっていうのは、やっぱりどうも胃にこたえるんだ。
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命を懸け、知力を尽くしてこの事態に対するは ~ 二人の海自隊員・当たりはソフトだが言うことやることは辛辣な冬原と言動は荒っぽいが中身はナイーブな夏木。日本という国の組織内では鼻つまみ者だが、やたらと仕事ができ己の魂に従って動く男・警察庁烏丸参事官に神奈川県警明石警部。熱き血潮の機動隊員。気弱だが研究者としての意地は頑なな海洋生物学者。
逃げ場を失い、冬原・夏木と共に潜水艦『きりしお』に立てこもった13人の子供たちが抱える、ズバリ10代的な諸問題も『きりしお』内外の事態を緊迫させる。そんな中、夏木と少女・望の間に流れる仄かな感情。
この非常時にも日和見を続ける官邸、無責任な大騒ぎを演じるマスコミに歯噛みしながら、プライドを懸けて戦うアツい男たち~もう、様式美といっていいその格好よさにはテンション上がるし、謎の巨大生物攻略の駆け引きにも興奮した。
面白かった!・・・のだが、以前『塩の街』を読んだ時と同じく、微妙に不機嫌になってる。
何故だ? いい男が普通の女子高生と易々と甘~い恋におちてしまうのが気に食わないのか? BLならば結構甘いのも平気なんだがな。
・・・いや、違うんだ。女の子が恋の主役だから気に食わないんじゃないんだ。
基本的には良い子な少女の、年上の男に許してもらうのが前提の未完成さ(例えば、ヒロイン・望は料理ができない。料理が出来ないのが問題なんじゃなくて、望の未熟な部分が“料理が苦手”ってことで象徴されてるんだと思うけど、彼女の料理下手は大人の男たちからは不問に付されている。)や、基本的に有能なはずの成人男性の、少女に受け入れられるのが前提の不器用さ~その辺の書かれ方がやたらと甘ったるいっていうのは、やっぱりどうも胃にこたえるんだ。
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