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2009-12-02

近代つくりかえ忠臣蔵 : 日高昭二編

 十二月といえば忠臣蔵である! と、いうことで今月は忠臣蔵がらみのものをいくつか。


 北原白秋の「おかる勘平」が・・なんかもう物凄い・・・エロいことになってる。

 勘平さんが死んだ、勘平さんが死んだ、
 わかい奇麗な勘平さんが腹切った・・・・・・

 おかるはうらわかい男のにほひを忍んで泣く、


 「色にふけったばっかりに」とは・・・うぅむ、なるほど、、こういうこと。勘平を亡くし虚脱した目で、お軽は過去の記憶に浸る。若い男女の理性をふっとばし蕩かした甘く強烈な官能の記憶に・・・。殿の一大事の最中に、ああ・・・こんなことに“耽って”いたのか・・・。

 恋に目が眩んだ二人には全く予想もできなかったこと。事件は坂道を転がる雪玉のように二人を呑込み・・・、ああ、勘平さん、腹切るしかないよなぁ。

(余談ながら、「あやつられ文楽鑑賞」での、三浦しをんさんの「お軽勘平」の心理分析は的確で面白かったです。)


 本書は、「仮名手本忠臣蔵」の大序から十一段目までに、「忠臣蔵」を素材とした近代の文芸作品を配して「つくりかえ」たもの。近代において「忠臣蔵」がどのように読まれ、語り直されたのかを眺めることのできるアンソロジーになっている。収録作品は以下の通り。

大序  武者小路実篤「木龍忠臣蔵」
    谷崎潤一郎「顔世」
二段目 林不忘「刃傷未遂」
三段目 桃中軒雲右衛門「雪の曙義士銘々伝」
四段目 木村毅「赤穂城最後の日」
五段目 大町桂月「四十七士」
六段目 北原白秋「おかる勘平」
    塚原渋柿「大石良雄」
七段目 井上剣花坊「赤裸々の大石良雄」
八段目 森田草平「四十八人目」
    幸田露伴「奇男児」
九段目 野上弥生子「大石良雄」
十段目 吉田奈良丸「大和桜義士の面影」
十一段目 芥川龍之介「或日の大石内蔵之助」

 幸田露伴の「奇男児」・・・己が信ずる武士道を邁進するため国を出奔した奇男児・村上某。祇園で遊興に耽る内蔵之助に因縁をつけまくり、罵り倒したものの、後日彼の本意を知り、泉岳寺・大石の墓前で腹を切ったという極端な男。忠臣蔵外伝的なお話。極端に「。」の少ない文章でびっくりしたが、読んでいると独特なリズムがあって面白い。

 最後を締めくくるのは芥川龍之介の「或日の大石内蔵之助」。仇討ちを終えた内蔵之助 ~ 細川邸の座敷に射すうららかな日差しの如く、おだやかな満足感に満たされていた心は、仇討ちに対する世間の評判を耳にするうち、小さな違和感と不快を生じ、やがて言いようの無い寂しさに苛まれる。

 世間に触れて孤独を深める大石の繊細な男心。嗚呼、龍之介・・・ナイーブすぎる男・・・と嘆息せずにはおられない。

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