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2008-12-24

仏果を得ず : 三浦しをん

 “端正な顔立ちに確かな芸の腕・・・でありながら、無愛想で言動が変”な兎一郎という三味線弾きが、主人公・健の前に現れた時、“お、来たかっ?!”って思わずニヤリとしてしまったんだけど・・・その“ニヤリ”は私の邪推のしすぎでした。ま、二人は互いにかけがえの無いパートナーになっていくのではあるんですが・・・。

 文楽の若き太夫・健が芸に恋にと七転八倒。個性あるキャラクターが過不足無く配置されているし、健がクリアすべき試練も程好く彼の前に立ちふさがってくるし・・・読みやすく練られた話です。

 芸を極める道とプライベートの諸問題が都合よくリンクしすぎ! とか、天啓ってそんなにしょっちゅう降りてくるもんじゃないだろ?! とか、思ったりもしますが、これは現実じゃないんだし、そこんとこはスパッと楽しんでしまおうと思います。

 
 ソフトなお話なんだけど、健の芸に対する「欲」だけは、基本的には好青年な健の中の黒いものも見せつつ、ギラリとこちらに迫ってくるのです。

 何かを強烈に求める人の切実さというのは、それだけでこちらの胸を打つ。例えばそれがお金や名誉なんてものだったとしても、その人が本当に色んなものを犠牲にしても、必死にそれを求めているのだとしたら、私は心動かされてしまうかもしれない。

 況や、健が求めているのは深くて暗くて先も見えない芸の道。それを“欲しい”と悶えてる健を見ると、胸がぎゅっとなってしまう。

 穏やかで清々しいストーリーのトーンには不似合いな程、激しく生々しく黒いものも秘めた、健をはじめ芸に生きる人たちの欲。その不穏さが、甘い味わいの中にもピリッと舌を痺れさす刺激として、読後の後味の中に残っている。

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