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2008-11-12

歌舞伎百年百話 : 上村以和於

 團菊の死を起点として以降の歌舞伎百年を眺めていく ~ 一年毎にトピックを立て、その年の社会での出来事と歌舞伎界の動きをリンクさせながら語るというスタイルで書かれた本書。「いまある歌舞伎が、なぜ、どういう風にして、いまある姿と形で、いま私たちの前にあるのか、そのことをはっきりさせたい」という著者の言葉に背中を押された。

 昭和の初頭までのことは、「未知のおはなし」として興味深く、面白く読ませて頂いた。昭和の終わり頃は私が初めて歌舞伎を見た頃でもあり、懐かしく、また、自分が見たのが歌舞伎のどういう部分だったのか確認できる点もあり、そういう意味で面白く読んだ。

 太平洋戦争が激化するあたりから終戦までは読むのが辛い。歌舞伎界の方々も戦地に赴いたり、戦災で命を落とされたりしている。戦争という非常時、自分の身さえどうなるかわからないのにこんな事を言うのも何だかだけど・・・私の恋する役者たちが戦争に巻き込まる姿を見なきゃいけないとしたらなんて、仮にも考えたくない。

 さて、本書を通じて印象に残ったこと・・・それは、江戸歌舞伎が終わって以来、重要無形文化財となるまで、歌舞伎は常に「現代演劇」の一角(または同時代の演劇をリードするもの)であろうとしたのだということ。これは、私の意識からぽっこり抜けてることだった。

 今現在の歌舞伎が、今の人に楽しんでもらえる演劇たらんとして新しい試みや挑戦をしているのも、何も急に起きた動きではなくて、これまで常になされていたことなんだなぁ、と。

 ・・・それでも、こんなことを言うのはすごく浅墓なことなのではないかとビクビクしながら言うのだが・・・ やはり歌舞伎は、根本的なところで近代の所謂演劇とは異質なものではないかと思う。

 現代の目で見ても、役者の白塗り・大仰な出立ちが前衛でもギャクでもなく、途轍もなく格好良く見える瞬間がある(残念ながら、それが滑稽に見える瞬間がなくもない・・・ということも否めない)。そこにかけられた魔法。役者が、生身の人間でありながら、人間でない何かのようにも感じられる秘密。おそらく歌舞伎だけが持つ方法論。その正体は、私なぞにはとてもとても計り知ることなどできないが・・・。

 現代の演劇であろうとするために、その魔法を損なう・・・なんてことには・・・ならないよね? ね? ね? と、気を揉んでみたりすることもあるのである。

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