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2007-02-07

おめでとう : 川上弘美

 12編の短編で綴られる、あったかいような、愛しいような、でも困っちゃうような、ずっとつづくような、すぐに終わっちゃうような二人の人たちの関係。

 それぞれ作品での二人の関係は、“公式でない”もの(つまり不倫や浮気)であったり、なんだか規格外なものだったり(片方が幽霊であったり、長いこと生きている間に水掻きや翼が生えてくるような何かであったり)・・・または、はっきりと名前をつけて定義できるような関係ではなかったり。

 そんな関係の中で登場人物たちはしばしば“なんだかなぁ”とか“どうにもこうにも”とか口にする。

 みんな“関係”がいつまでも変わらず続くものではないことを予感している。すでに“関係”が終わっている人もいる。そのことは残念ではあるけれども、不幸ではなくて、やっぱり今はこれでいい・・・というか、こうでしかない。そんな“なんだかなぁ”

 川上弘美さんの書くものには、時々ものすご~く虚をつかれてしまう。『恋人が桜の木のうろに住みついてしまった。』で物語を始めてしまったり・・・。で、これはももんがかなんかの恋人同士の話かと思ったら、この「恋人」はちゃんとストライプのワイシャツを着て会社に行くんだと書かれていたりする。

 「うらめしい」と言いながら主人公の女性の部屋に出てきたはいいが、相手のリアクションがないと見るとその沈黙の時間に耐えかねて消えようとする幽霊が出てくる作品もある。それがコメディとしてではなく、至極真剣に書かれていることに私は虚をつかれて“なんだそれ?”と思うと同時に不覚にもくすっとしてしまった。

 そういう風に虚をつかれた心は、掌の中で物語られる風変わりではあるがそれぞれに真剣で切実な関係の話をすぅ~っと受け入れていくようだ。

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theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

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