2014-07-05

岸辺露伴は動かない : 荒木飛呂彦

『岸辺露伴は動かない』 荒木飛呂彦

  「リアル」を問題にする漫画家・岸辺露伴が取材中に遭遇する怪異。土と血と木々と水の匂いのする、ちょっと重めの怖い話ですが、露伴先生の折れない探究心が何だか清涼剤的な・・・。「懺悔室」以外では岸辺露伴、かなり動いてますよね。

  「懺悔室」の意外な結末、「六壁坂」の妖怪の奇妙な生態、「富豪村」「密漁海岸」における奇怪な現象、高級ブランド服を難なく着こなす「グッチに行く」の露伴先生・・・どの話にも驚異と奇観があって、すべてのコマがこってりと濃い。各話の扉や「グッチに行く」がカラーじゃないのは残念だけど。

 ただねぇ、面白さとしては文句ないんだけど、実は「六壁坂」の妖怪話、微妙に納得できないのだ。露伴先生の話を信じるならば、妖怪取材の為に露伴先生が買った山に、今も大郷家の人たちは住んでるってことですよねぇ。土地の富豪でしかも妖怪を匿っているような大郷家の人たちが? 他人の土地に? 何か変ではない? あの話は、破産しちゃった上に妖怪にも出会えなかった露伴先生のくやしまぎれの創作だッッ・・・て思っちゃダメ?




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2014-02-08

魔少年ビーティー : 荒木飛呂彦

『魔少年ビーティー』 荒木飛呂彦

 「『バオー来訪者』連載時から、荒木飛呂彦は面白いって知ってた!」っていうのは、私の小さな自慢であるが、ある友人はジャンプ誌上で『魔少年ビーティー』の連載が始まった時から、その作者の奇抜なセンスと際立った個性を賞賛していたのだった。仲間内で、『くらわしてやらねばならん! しかるべき報いを!』とか言って、くすくす盛り上がったりもしたっけ。

 悪ガキのポケットにスズメバチをしのばせて『バーン』、アリの巣の側にアメ玉を置いて『バーーン』、わきの下からピンポン玉を取り出して『ドジャーン』・・・etc. とにかく効果音の凄いことに唖然としたり、ビーティーに目をつけた悪ガキの『ちくしょう! あいついつも耳をなでてるんだぜ! なまいきなヤツなんだぜ!』っていうセリフに虚を突かれたり。(主人公のキャラ付けに「いつも耳をなでてる」って。『バオー』の育郎くんの「バンジョーが弾ける」にしてもそうだけど、『山田のおじさんごっこ』的には「人物のリアリティとしてはギリギリ」だと思う。)

 連載当時はビーティーの「すごい眉毛」にばかり気を取られていたけど、今見るとかなりの美少年である。「精神的貴族」を自負するビーティー少年。プライドの高さといい、危機に陥ったって折れない探究心と好奇心といい、自分の探究心を満たすためには「社会的にはそれ犯罪でしょ」ってことにも罪悪感ゼロなとこといい、それでいて友人のことを大事に思っているとこといい、岸辺露伴に通じるとこがあるかも。


 ※山田のおじさんごっこ・・・中島らもの『こどもの一生』に登場するゲーム。架空の人物に思いつきでキャラ付けをし、あたかもその人物が実在するかのようにふるまうというごっこ遊び。




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2014-02-01

バオー来訪者 : 荒木飛呂彦

『バオー来訪者』 荒木飛呂彦

 連載時にリアルタイムで読んでいたんだけど、第1話に登場する秘密組織「ドレス」の女のハイヒールが今でもくっきりと印象に残っている。少年マンガで、あんなにきれいで何となくフェティシスティックな「女の靴」を見るのは初めてだったから。思えば、あの「ハイヒール」を見た時から、無意識のうちに「この作家は他の人とは何か違う」と感じていたのかもしれない。

 秘密組織「ドレス」の被験体として、驚異的な戦闘能力を持つ怪物となってしまった育郎少年。移送中の列車から脱走した育郎は、同じく被験体の少女スミレと共に組織からの逃亡を図るが、危険な怪物を野に放ってしまった組織は執拗に二人を狙う。

 連載中はとにかく大仰なナレーションに圧倒されながら読んだ。あまりにクセの強い絵柄に、最初は少し戸惑いもしたんだけど、徐々にそれも他にない魅力になって・・・。そして何より、怪物に変身してしまう哀しきヒーロー・育郎くんの健気さがたまらんかった。

 コミックスになった時には「これすごい面白い!」と友人に勧めてまわったんだが、連載は短命に終わってしまった。(が、長く続いてグダグダになっていく多くのジャンプ作品よりも幸福な作品だと思う。)

 連載期間は短かったけど、内包している物語はとても大きい・・・と、読み返して改めて思う。




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2013-06-29

岸辺露伴 ルーヴルへ行く : 荒木飛呂彦

『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』 荒木飛呂彦

 「荒木飛呂彦氏の作品はすべて“素晴らしいっ!”と驚き賛美してしまいたい」という気持ちがあるのだけど・・・ この作品は「文句なしの傑作ぅぅぅぅぅ!」とは言いにくいような・・・

 荒木作品の魅力の一つは「驚異」だと思うのだけど、画面から“邪悪なもの”が這い出してくるシーンは、“何か、見たことあるな・・・”と思ってしまったし・・・


 10年前・・・17歳の岸辺露伴が謎の女に出会うところから、ルーヴル美術館地下倉庫の探索まで、不穏なものが満ちていて、その不穏さが次々とページを捲らせるのだが、ではその不穏さの源が何かと言うと・・・もちろん、「この世で最も黒い絵」という着想がその一つではあるんだけど、多くは「ルーヴル美術館の地下」というロマンに因るんじゃないだろうか? ラストの一言でこの作品自身がそのことを認めているようにも見えるし・・・。

 「大ルーヴル」への敬意に貫かれた作品。ルーヴルへの畏れの前に、岸辺露伴もおとなし目?


 とは言え、荒木飛呂彦のオールカラー作品というと、それだけで目にしてみたい、手元に所有しておきたいと思わせるパワーがある・・・のよねぇ。




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2012-06-09

死刑執行中脱獄進行中 : 荒木飛呂彦

『死刑執行中脱獄進行中』 荒木飛呂彦

 こういうのを「奇想」っていうんだろうなぁ。世界観も、シチュエーションも、キャラクターのセリフもポーズも、コスチュームも、アングルも、どれもが奇抜。長編も奇妙で独創的なアイデアに溢れた荒木氏だけど、これは短編だけにその奇抜さがバリッと剥き出し。

 言ってしまえば、「みんな変!」なんだけど、「変!」なままに大真面目で進行する世界のパワーと、グロさと狂気すれすれの感性を愛嬌に包んだキャラクターたちの活躍が、「変!」を「圧倒的で魅力的ィ~」に変えちゃう。

 「ジョジョ」第四部に登場した吉良吉影の幽霊が、いろんなルールに縛られながら、きちんと、より良く生きていこうとする「デッドマンズQ」なんて、思わず手に汗にぎって殺人鬼を応援してしまうよ。


 収録作 「死刑執行中脱獄進行中」「ドルチ」「岸辺露伴は動かない」「デッドマンズQ」




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