2011-02-09

蛇-日本の蛇信仰 : 吉野裕子

『蛇―日本の蛇信仰』 吉野裕子

 「蛇になる女」の物語の母体となる仏教の思想が日本に定着するよりずっと古い時代、「蛇」は古代日本の信仰の中心であった。仏教説話に語られる「蛇」は否定的なイメージを持っているが、それ以前に日本には仏教的なものとは違う「蛇」の姿があったのかも・・・。

 日本の信仰・祭祀は大陸の陰陽五行思想を色濃く取り入れ、七世紀後半に『一種の宗教改革』とも言える大きな変革を遂げているとした上で、その変革以前の古代日本の信仰の中心に「蛇」がいると著者は論じている。 

 古代日本人を驚嘆させ、畏怖の念を抱かしめたであろう蛇の生態(強靭な生命力を思わせる特異な形状、濃厚な生殖、“生まれ変わり”を連想させる脱皮など)に関する記述から始まり、蛇を指す古語「カカ」への目配りをしつつ、「蛇」に見立てられたもの ~ 植物(形態の類似からの連想)、鏡(=蛇の目)、鏡餅(=とぐろを巻く蛇の姿)、案山子(=山の神、穀物神としての蛇との関連) ~ への言及、そして、各地の民俗、伝承、祭りなどに見つけ出すことのできる「蛇」の姿、そこに込められた思想へと推理・考察が展開される。

 各地に伝わる祭りや奉られるもの ~ その由来、元々の意味が見失われていたもの、事柄について、改めて「蛇」との関連を見出したことは大きな意味のあることだと思うが、一方で、それらのもの、事柄が「蛇」以外のものに由来、関連する可能性について殆ど触れられていない為、多少、論の展開が強引であると感じるところもあった。




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2009-08-22

持統天皇―日本古代帝王の呪術 : 吉野裕子

 草壁皇子の静かな悲しみを描いた、梨木香歩の「丹生都比売」あとがきに、「母帝に殺される皇子」という着想を与えてくれた書として本書が紹介されていた。


 天智・天武・持統らが活躍した時代の日本は、陰陽五行の思想を政の原理とする世界だったいう古代史観の下に、壬申の乱前後~持統天皇の治世までを考察した本書。

 強烈な権力への志向を持ち、夫の後を継いで皇位につくことにこだわった鵜野讃良皇女=持統天皇の性質、人格形成についての記述には多分にロマンティックなところもあり(過酷な生い立ちや、額田王をめぐる父・天智、夫・天武の関係など・・・)、“何か、少女漫画みたいなんですけどぉ・・・”と思わなくも無い。

 しかし、全体的には淡々とした筆致で、鵜野讃良皇女=持統天皇が、政治的に重要な局面のことごとくに施した呪術的な策を明かしながら、そこからの必然的な結論として「母・鵜野讃良皇女による、子・草壁皇子の殺害」を説く。

 古代社会を成り立たせていた世界観と、その世界観を巧みに操って自らを輝かせた女帝の存在感に圧倒される。

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