2009-11-14

耽美主義 : 本仁戻

~ 美。 最高にして至上のもの。 ~

『ヴィスコンティの映画のように』
 美に絶望し美を捨てた作家・宝条紫乃と、作家の美を崇拝する青年。

『ロマンティック』
 刹那的で破滅的な若き子爵と、美しいドイツ人執事。

『浄められた夜』
 罪に裏打された愛を抱きあう義兄と義弟。

 善悪も、生死も、愛も憎しみも超えて、ただ美しいものを渇望し、美に耽り、蹂躙され、美しいものに捧げられることを望むもの。

 「耽美主義」・・・あとがきには、「この人きっと中二病なんだわ」とでも思ってくれと書かれているけど、このタイトルで通す気迫に寄り切られそうです。

 しかし、私としては、完全に美の彼岸にイッっちゃった耽美主義者よりも、一線を越えられない臆病者の方が愛しいのです。

 だから、子爵の「皆殺しだ!」も素敵ですが、美を求めて美を得られず、美を捨てて美につきまとわれる、下半身の偽悪者・紫乃さんがイイのです。

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2009-09-19

DOG STYLE : 本仁戻

 一匹狼にはなれない野良犬・千秋テルと、野良犬を飼いたい願望を持つ大きいお兄さん・寺山ミキの、身も心も組んず解れつなお話。

 それぞれに、振り向いて欲しい相手とは何だか上手くいかないテルとミキ。先輩後輩でも、友達でもないけど、一緒にいると何故だか気が緩んじゃうテルとミキ。

 ズカズカと踏み込まれるのはイヤだけど、たまにすごく会いたい。一緒にいると楽しい、一緒にいると安心する。予定外の恋心に先に気付いちゃうミキだけど、テルは野良犬だから、急に距離を縮めようとするとダッシュで逃げちゃう。無理に近づこうとすると、無茶苦茶に噛み付かれちゃう。野良犬の距離感ってむずかしい。

 友情と負けん気とヤキモチと欲情と恋がからまっちゃって、どれがどれだかわかんない。だからヒドイことしたり、されちゃったり、期待したり、裏切られたり、すれ違ったり・・・。ミキのハードな過去はフラッシュバックしちゃうし、ヤンキーゆえにヤバい暴力沙汰には巻き込まれちゃうし。
 
 ヤケクソな笑いと、ピリピリの緊迫と、メチャメチャ気持ちいいHと、しょんぼりな寂しさと、ほんのりな幸せと、どん底の自己嫌悪と、死にそうな大怪我と・・・大波小波波状攻撃に、こっちの気持ちも翻弄されちゃって泣いたり笑ったり大変。


 素直になれないテルの気持ちをミキが言葉にする、それを隣に座ってテルが聞く。二人の気に入りの廃ビルで、二人が大好きな夕日を見ながら・・・

 君が隣りに座ると ゾクっとする 胸が甘くなる

 ビルで待つ・・・ 夕日を見る   君の分のコーラを買ってしまう・・・

 約束もしてないのに脇にコーラを置いて 僕はただ待ってる・・・

 "君が約束もないのに僕を待ってたらいいのに・・・”



 いい! 猛烈にいい!


 そしてラストの数ページ ~ 不安と悲しみと緊張から一転、ドドドドド~と全てを押し流すような勢いでやってくる安堵と弛緩と幸福感の大津波は、これまで読んだBLマンガの中でも最上級のラストシーン!



2009.10.18 追記

 今、ちょっと反芻してたんだが・・・

 野良犬ヤンキーのテルが、キレイなお兄さんミキに「好き」と告白されて、イラついちゃう、不機嫌になっちゃうっていうトコがある。

 テルだってミキが好き。でも、大好きな人のことも、何パーセントかは“ウザい”って思う気持ちがある。テルは神経質だから、自分にそんな気持ちがあることに気付いちゃう。ミキに「好き」って告白されちゃうことで、自分の中のそんな気持ちまで突きつけられちゃって、そんで傷ついちゃう、イラついちゃう。

 なんか、イイな・・・テルちゃん。

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2009-07-08

探偵青猫 : 本仁戻

 明治? 大正? 昭和? 時代はいつだかわかんないんだけども、日本に優雅でスマートな貴族がいて、孤島の城に住む怪盗がいて、純情で惚れっぽい刑事がいて、粋で男前な女衒がいて、異才の少年贋作師がいた時代のお話・・・と思うと、それだけでうっとりとした気分になれる。

 そして・・・美貌で頭の回転が速くて変人で金に困ってなくて暇を持て余している貴族のお坊ちゃまの職業といったら探偵しかないでしょうって感じで、我らが主人公(というより狂言回し?)青猫恭二郎は探偵である。

 面白そうな事件にだけ嬉々として乗り出していく探偵は、助手の小林少年、青猫お気に入りの蜂王子刑事、恋人・女衒の鶯らと共に、事件解決に大活躍! コメディあり、切ない恋物語ありと、散々心を揺さぶってくれます。

 傍若無人で怖いものなしに見える青猫・・・しかし、お坊ちゃん育ち故、喧嘩は全くダメだし、過去の複雑ないきさつのせいか、心にかなり脆いとこがある。

 屈折しているくせに、「好き」という感情にはものすごく純粋な青猫。そんな青猫を、周囲の人たちは大切に大切に見守ってる。恋人・鶯はもちろん、青猫を子供扱いする小林少年も、青猫を変態扱いする蜂王子刑事も、父の友人・早乙女伯爵も・・・宿敵・怪盗硝子蝙蝠までが、青猫を「愛しい人」と呼び、青猫のピンチには必ず現れる。

 そして青猫もみんなのことが「大好き」(肉体関係を持ってしまうほど;;;;)。


 美しい人になりたい。 誰かを好きになりたい。 誰かに好きになってもらいたい。

 時折無性にBLが読みたくなるのは、そういう気持ちを純粋に確認して、満たしたいから。そこんとこにビシィッと触れてくる作品で、なんだかもう、涙がぼろぼろ出ちゃってしょうがない。


 今年の秋頃には、待ちに待った第6巻が出る模様。

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