2013-03-16

甲賀忍法帖・改 : 浅田寅ヲ/山田風太郎

『甲賀忍法帖・改』 浅田寅ヲ/山田風太郎

 未完であるのがホントに惜しい。

 次期将軍の座をめぐる徳川家内紛の代理戦争として、甲賀・伊賀の各精鋭が異形の技の限りを尽くして相闘う。 

 とにかく、浅田寅ヲ氏による忍者たちの造形がねぇ♪ 「それは、どちらのインディーズブランドの?」的デザインのコスチュームに包まれた、美しく鍛えあげられた蠱惑的な・・・、あるいは驚異の形状変化を見せる肉体。美しい顔を覆い隠すマスク。

 バイオレンスにちょこっと添えられるユーモアの塩梅も良いし・・・、甲賀選抜vs.伊賀選抜の凄絶な忍術戦と、弦之介と朧の愛の結末までを、独特な空間・スピードの描写力、見えないものを視覚化するセンス、抜群の原作アレンジ力を持つ浅田寅ヲの手で描いてみせてほしかったな。





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2011-04-16

ウルトラバロック・デプログラマー : 浅田寅ヲ

『ウルトラバロック・デプログラマー』 浅田寅ヲ(原作:いとうせいこう『解体屋外伝』

 『暗示の外に出ろ。俺たちには未来がある。』

 言葉を武器に精神世界の戦場を行く、「解体屋」意識下の戦闘!


 聖オーガスティン病院の特別室で、長らく記憶を失い、他者の言葉を垂れ流すばかりだった一人の男の意識が再び動きだした。男は「解体屋」・高沢秀人(二代目)。

 暗示~言葉で編まれたプログラムを他人の頭に埋め込む“洗脳”が巨大なビジネスとなった近未来。洗脳集団=「洗濯屋(ウォッシャー)」に対抗する洗脳外し=「解体」のプロとして「洗濯屋」の中から派生した「解体屋(デプログラマー)」。目覚めた高沢の周囲には、高沢の目覚めの鳥~タイ人の医学生ソラチャイ、聖オーガスティンの精神科医・知香、他人の声をコピーし、人を操る歌声を持つ少年・ノビル、ノビルを取り巻く謎の集団が・・・。

 原作小説からして、高速で溢れ出る言葉で編み上げられたビジュアルイメージの奔流!だったのだ。浅田寅ヲ氏はそこに、原作とはまた違った刺激的な画面を創り出した。

 次々と組み上がり積み重なり自分の内外に張り巡らされていく暗示を、絶えず自分を更新し続ける言葉で切り開き、解体する。

 徹底して「言葉」で構築されていた原作の世界が、「画面」で表現されることで、精神的な緊迫感は肉体的な高揚感に変換され、“他者のテクストに抗う自己の言葉”という、自己の存在を問う内なる闘いの色が濃かった洗脳vs.解体の闘いは、寅ヲ氏によって配された魅力的なオリジナルキャラクター ~洗脳企業サイキック・ワークの戦闘員?ルートとリシャート兄弟、高沢のスプリット・セルフたち~ の存在によって、「解体屋」高沢 対 「巨大洗脳組織」サイキック・ワークという局面がクローズアップされた形になった。

 「解体屋」のスプリット・セルフ・・・「解体」の技術として三つに分割された自己~外界で対象に向かい言葉や動作を発する「操作者」、精神世界の前線送りの「戦闘者」、「操作者」「戦闘者」双方からの情報を解析するコンピュータ役の「解析者」~ それらが完全な“技術”として無機的なCGのようなイメージで描かれる原作のクールさにも痺れるのだが、寅ヲ氏が新たに描いた、猛烈に愛すべきキャラクターを持った彼らにもまいってしまうのである。

 キュートな言語感覚を持つオウムの「解析者」と、大時代で装飾過多なハンサムながら、心配性で泣き虫、ガーデニングを愛し、ぬか漬けを常備し、暇ができると刺繍を刺す「戦闘者」。

 「ディアブロ(悪魔)」と「カラベラ(髑髏)」という名前までつけてもらった彼らの存在で、原作の世界が少し変わってしまったことは否めないのだが・・・じゃぁ、彼らに会えなくてもよかったのかと言われると、「いや! いや、いや! 君たちに会えて良かったぁ!」





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tag : 浅田寅ヲ ウルトラバロック・デプログラマー 解体屋外伝

2010-04-10

スプーンマン 上 : 浅田寅ヲ

 南に行こう・・・。俺の友達レインは15歳の時に、教室にいた同級生を銃で皆殺しにした。それ以来俺たちはいつか南に行くことを夢見て旅を続けてる。


 「上」とあるが「下」は無い。未完なのは残念だが、この純粋すぎるハートを持つ三人 ~ 子供のような大人と、大人のような子供と、二人を守っているようで守られてる保護者は、結末を迎えるよりも、いつまでも旅の途中であってくれた方がいいのかもしれない。

 いつもながら、画面に同調するまでに少し時間がかかる。でも一瞬、フッと波長が合った瞬間に、静まり返った部屋の中に流れるTVの砂嵐の音が、その部屋の空気感がまざまざと感じられてビクッとする。 

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2009-07-25

パイドパイパー : 浅田寅ヲ

 年代不詳。中学生集団と町の少年自警団の、日々凄惨な抗争で流血沙汰が絶えない東京深川周辺。恐怖と破壊に引っ掻き回される日々、ぐっちゃぐちゃに他人を壊しながらも、大切なものを守ってる聖なる暴力少年たちの物語。

 「痛いからヤメテーッ!」って声も干上がっちゃうほどのヴァイオレントさ。だけど、何か・・・切な暖かい話なの。

 
 あえて言い訳はすまい。私がこのコミックに夢中になったのは、明浩のフェロモンにやられたからだ。中高生が暴れまわってる中で彼だけオヤジ?(といっても30手前?)らしいけど、やっぱね~、10代とは圧倒的にフェロモンが違うんだよ。クールで無口で表情読めない男だけど、彼なりに小さくボケたりツッ込んだりしてるし。絶対シャレも分かる人なんだよ。最後のねぇ~ 大きな戦いを前にした、否が応でも気持ちが高ぶる昂ぶる瑛二や尼龍との再会シーンに、彼、ちっとも顔見えてないんだけど・・・いいの、あの襟足だけで軽くクラッといってしまうの。


【尼龍(ナイロン・ナイくん)】高校生だけど、元LAギャングの人。物凄く強い。放っとくと命に関わる危険な事態ばっかり引き起こしたり巻き込まれたりするので、彼を心配する母の意向により、少しでも平穏な地域へと世界中の親戚をたらい回しにされている。体力勝負の乱暴モノみたいではあるけど、行く先々の言葉をマスターしてるし、母国語だったらものすごくきちんとしたことしゃべってるし、すご~く周囲の空気読むし、家族思いで友達思い・・・すっごく頭よくて優しい良い子。

【瑛二(ヨンイ)】みんなから妙に愛されてる平和な眼鏡っ子(明浩くんにはバイクで轢かれたりするけど。故意に。)。基本、まったりした子なんだけど、周囲の暴力少年たちが引き起こす、理解不能、収拾不能な事態に追い込まれすぎちゃって、ストーリー中2回くらいキレる。尼龍、夏比古とは同級生。夏比古曰く「ある意味最強」。

【高橋くん(タカハシくん)】身体はとってもちっちゃいけれど、強くて侠気あふれる自警団「357」の総括。瑛二や夏比古の仲良しさん。志半ば、惜しくも1巻で死亡。国籍は中国。

【小春(シウチョン・コハル)】「357」二代目総括。「人間枠はみ出しちゃった人」「標準設定が非人道」と言われる武闘派鬼畜の割りには、かつて「血も涙も無い人」だった尼龍には歯が立たず。男前なのだが、尼龍に顔を中心にやられた為、登場シーンの3分の2くらいはスケキヨ状態だった。

【知彦(ジオン)】瑛二の年の離れたお兄ちゃん。多忙で厳格な大人。多分とっても情の濃い人。

【25号】焼却炉に産み捨てられ、ロシアの「臓器牧場」で飼われていた。名前はない。世界の全てを憎悪する最凶の少年。自分を保護し、気にかけてくれる知彦のことだけは大事に思っているらしい。

【明浩(ミョンホ・あっくん)】経歴不詳だけど、夏比古によると「人殺しのプロ」。殆ど表情を変えることがないが、その極少の表情変化に深い味がある。前述の理由で、今作中私が一番好きなキャラである。

【夏比古(ナツヒコ)】年中黒づくめ。雅楽のお家に生まれたお坊ちゃんだけど、自ら笛の吹けない体にしてしまった。フェミニンさんな見かけながら暴力王子。屈折しすぎてて訳わからない子だけど、友達には物凄く優しい。でも、あっくんには八つ当たりで酷いことしたりする。ことある毎に身体のパーツが無くなっていく。痛々しくて見ていられない。


 ページ開けるといきなり顔にモザイクかかった中学生が明浩くんに蹴り倒されてます。尼龍は、やっぱ顔モザイクの中学生集団相手に破壊行為の真っ最中で、夏比古は帰国するなり掌にボウガンの矢貫通。

 何の前フリも無くジェットコースター発進しちゃってるっていうんでしょうか・・・物凄い疾走感です。

 起こってる事態や、登場人物たちの背景については、あんまり事細かには語られません。間に挟まれる回想シーンや、周囲の人たちの言葉から察するのみ。説明欠けたまま事態が進んじゃってるとこが、ぅわんっと酔ってしまいそうなスピード感を生んでます。

 東京での少年達の抗争とは別に、本当にするべき戦いを背負っていた夏比古。友達にさよならを告げて夏比古が姿を消して数年。最後の戦いを前にした再会。嵐の前でありながら、みんな穏やかな顔してるのってがずるいのよ~。ぐすん。

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2009-03-18

すべてがFになる : 浅田寅ヲ ・ 森博嗣

 面白かった。人気小説のコミカライズというだけにとどまらず、独立した作品としても楽しめるのは、浅田寅ヲ氏の作家としての力量の成せるとこだろう。文字で書かれた視覚的イメージを実際に“目で見る”絵で表現してしまう腕前、漫画で描くにふさわしくストーリーを再構築するセンス、どちらも素晴らしい。

 原作で印象的だったあれやこれやの台詞はきっちりちりばめられつつも、森ミステリの醍醐味(であろう)、ミステリ+αのα部分が多少削り落とされているので、謎解きの部分が強調されシンプルなミステリ作品に仕上がった感じがする。

 シリーズでずっと読んでいくなら、人物・物語の裏、ストーリー以外の部分にもボリュームのある小説の方が面白いのだろうけども、単独で読むならこのくらいシンプルでスピーディなのがいい。ただ、場面転換がちょっと荒々しい部分があるので、原作読んでいない方は戸惑うこともあるかも。

 犀川先生・・・アゴ下のちょっとした“たるみ”が愛しい。小説を読んでる時の私のイメージではホントにさえないオッサン(見た目はね♪)だったんだけど、・・・うん、うん、浅田氏の描く犀川先生・・・うん、うん、このイメージの方が断然しっくりくるね。これなら萌絵との微妙な関係もすんなりのみこめるぞ。私のイメージしてた先生ではどうも気持ち悪くてな~

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