2008-09-24

星のひと : 水森サトリ

 ある日、ある時、ある町の、ある家族の家に、屋根を突き破って落ちてきた一つの隕石。隕石落下事件の周辺で、一瞬交差する人の想い。

 「本当の自分」の生きる場所を探してあがく女子中学生(「ルナ」)。生まれることを望まれなかった息子、愛しているわけじゃない妻を守りきろうと、優しさの限りを尽くして頑張る男(「夏空オリオン」)。自分の心を偽らず、真っ直ぐに生きていこうとするく少年・耕平=ニューハーフ・ビビアン(「流れ星はぐれ星」)。

 それぞれ真摯に、一生懸命に生きている人たち・・・なのに、この“イラッ”とさせられる感じは何だろう? と、彼らの言動に触れて、何だか愉快でない気持ちになってしまう訳を考える。そして、あまり考えるまでもなく思い当たる~「何だ、この人たち結局みんな自分のことしか目に入っていないんだ。」

 考えてみれば、それは当たり前のことだ。どんなに大きな、どんなに沢山の人がいる世界に生きていたって、生きていく主体=世界の中心は何時だって自分なのだ。それは、広大な宇宙の中で、「自分」という星の上にたった一人で生きているなんていう状態に似ているのかもしれない。「自分」星の周りにちらばる他の人の星も視界に入れて、ちゃんと解ってるつもりにはなってるけど、所詮「他人」星からの眺めなんて、見たことも無ければ、解る訳も無い。


 時折、地球に隕石が落ちてくるように、遠く離れた星と星の間に小さなコンタクトが起きた時、ほんの一瞬実感するのだ。「他人」星にも「他人」星の眺めがあること。「他人」星から眺めれば、「自分」星も遠くに瞬く星の一つだということ。そして遠い距離を隔てていても、互いに互いを眺めていたこと。

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2008-04-23

でかい月だな : 水森サトリ

 13歳の僕・沢村幸彦と綾瀬涼平は、海に行った帰りの峠道、雲間から姿を見せた大きな満月を二人で見た。「でかい月だな」・・・ぽつりと言った直後、綾瀬は僕を崖下へ蹴落とした。綾瀬はなぜあんなことをしたのか・・・。その答えを知る為に、綾瀬を待ち続ける幸彦。


 13,4の子供がいっちょまえに悩んだり、主張したり、絶望したりしやがって!などと、最初は苦々しく思ったのだけど、読み進めるうちに印象が変わった。一見傲慢・なげやり・粗暴に見える態度の裏に隠された、“世界”と接してふるふると震える心。未完成ながら、自分なりの正しさを侵されないように守ろうとする頑ななまでの幸彦たちの姿はピンと張りつめていてきれいだ。

 想いが伝わりあわない事に苦しみながらも、皆と同じ気持、同じ幸せを共有することには違和感と苛立ちを感じる。そんな中で、幸彦が興味を持ち、そばに居ることを心地良く感じたのは二人の変人・・・クラスで完全な無言を貫く邪眼の少女・横山かごめと、錬金術師を自称する天才・中川京一。

 幸彦の目には二人は超然としてゆるぎないものに見えたが、幸彦が恐れるかごめの無言も、幸彦を何度も助けた中川の錬金術も、本当は幸彦の「死のう」という決意と同じように、彼らなりの戦う術だったのだ。理不尽で大きな自分の外の世界に抗うための。

 世慣れた大人たちに勝るとも劣らない真剣さ、大人よりもどうしても経験の数で劣ってしまう痛々しさをまとった悲壮な覚悟で、戦うように生きる幸彦たちが清冽で、大人である私は衝撃を受ける。こちらがドキリとするようなクールな目と悲壮感を持っているくせに、少年期の甘ったるい感じがあるのも良い。

 SF的状況もからみつつ、綾瀬と共有できるものを確かめる為、行動を起こす幸彦。結末は・・・。


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