2010-08-18

仏教が好き! : 河合隼雄・中沢新一

 このやわらか~いタイトルが以前から気になっていたのである。いつの頃からかうっすらと仏教への興味を持つようになり(古く?は岡野玲子の『ファンシィダンス』、最近ではみうらじゅんの影響が大きい)、いつか読もうと思っていた一冊なのである。

 しかし・・・「仏教が好き、仏教が好き、仏教が好き・・・」わくわくしながら読み始めるも、あまり読み進めないうちに半ばお手上げ状態になる。 

 「仏教とは何か」、ひいては現代において仏教に期待される可能性、仏教が担うべきものについて河合隼雄氏が生徒役になり中沢新一氏と語りあっておられるのだが、東西の思想、哲学、心理学、科学の分野までを網羅した知識の上で語られる内容はやわらかく見えてかなり難解。

 仏教との比較対象として取り上げられる様々な思想や現象、または例えとして語られる事柄の内容がどういうものなのか・・・そこんとこの知識を持たない私は、お二人が語ることを噛みしめながら考えるというレベルに達しておらず、とりあえず鵜呑みにすることから始めるしかない。これから長い時間かけて少しでも消化できるのか・・・まぁ、気長に行こう。

 一神教の宗教の“神 対 人間”のように、“仏 対 人間”とはならない仏教。一神教の宗教とは全く異なる成立ち、構造、思想、を持つ仏教は、“宗教”というより“智恵”、生命の荒野を進むための地図といった方がしっくりくるようである。お二人の対話のなかで“語らない大日如来”や「ブッダは自分が悟った内容について長い間沈黙していた」ということが語られるが、仏教とはとても個人的なものなのではないかとも思う。

 ああ、それにしても広大すぎる仏教の宇宙・・・ そこに入っていくことはできるのか? すべてはこれから、これから・・・ 

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2010-03-03

ファンタジーを読む : 河合隼雄

 本書では、優れたファンタジーとしての物語、児童文学などが取り上げられているが、ここで言う「ファンタジー」とは、心の底から沸き起こり、『それ自身の自律性をもってわれわれに迫ってくる』ものであり、そこには“たましい”~『身体と心というものを統合して、一人の人間存在たらしめているもの』~のあらわれが見て取れると著者は語る。


 もしも、そのすべてをさらけだしてしまったら、社会に重大で悲惨な事件を招くことすらあるような「私」という存在 ~ 『「私が私である」という現実』を支える為に“たましい”が経験しなくてはいけないことは、大変な困難と危険をともなっている。

 “たましい”が孤独で危険な旅をする間、「ファンタジー」はその旅の同伴者として機能してくれる。「ファンタジー」との対峙の仕方を誤ることは、「妄想」や「つくり話」の世界に囚われる危険性も含んでいるのだが・・・。


 今まさに「ファンタジー」が必要であるような人は、ここに書かれていることは知らない方が良いのだろう。魂の同伴者としての「ファンタジー」とは多分、その正体を知られないままに愛され、人がそれを必要とする間だけ共にあり、そしていつしか一抹の寂しさとわずかな喪失感と共に忘れ去られてしまうものでなければいけない。

 ・・・なんて言うと、大塚英志が『リンウッド・テラスの心霊フィルム―大槻ケンヂ詩集』の解説や、『人身御供論―通過儀礼としての殺人』で書いていたことを、まんまコピーしているみたいだけど、これまで字面だけで頭に突っ込んでいたことが、最近やっと実感としてわかってきた・・・ような・・気が・・・しないでもない。

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2009-07-01

ウソツキクラブ短信 : 大牟田雄三・河合隼雄

 真実を語りながら縦横に嘘を吐きまくる(といっても、その内の何パーセントかは駄洒落なんだけど)~その話題は、河合隼雄氏が会長をつとめる「日本ウソツキクラブ」の活動から、日々のニュース、学問、世相、歴史、文学にいたるまで。

 たった一つの真実という漢字に、馬鹿らしいほどたくさんのルビを振り続けよ!


 ・・・というのは、いとうせいこうの小説『解体屋外伝』の中の言葉だけど、「日本ウソツキクラブ」に掲げられる

1.ウソのようなホント
2.ホントのようなウソ
3.ユーモアのセンスあるもの 歓迎


というクラブの三条件を眺めるにつけ、この解体屋の(正確には錠前屋の)言葉が思い出されてならない。

 大牟田氏は「ウソとマコトが交錯するなかに笑いが生まれてくるところが大切である。」と言い、解体屋は、一つの漢字に馬鹿らしくなるほどたくさんのルビを振り続けるなんていう知覚の多様性をこそユーモアと呼ぶのだって言ってる。これ、結局同じところを目指す言葉なんじゃないだろうか?

 全体はナンセンスな笑いに包まれていながら、意味と無意味、ホントとウソが、ある時クルリと反転して、瞬間、冷水をかけられたような気がするのも、いとうせいこうの作品が持ってる感覚に似ている。

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2008-04-16

おはなしの知恵 : 河合隼雄

 「おはなし」は役に立つ薬であり、同時に危険な毒でもある。

 人々に好んで語られる物語には、心に強く訴え、虜にする魅力がある。我々に色んなことを教えてくれているようにも見える。しかし、その物語に打たれ、そのまま「おはなし」に身を投じるということは、とても危険な事態を招いてしまうこともある。

 「おはなし」を生きるのではなく、「おはなし」を自分の生に役立つものとして利用する。著者は読者に寄り添いながら世界の神話、民話、昔話をひき、そのために必要な視点、心の持ちようを示してくれる。

 心理療法の現場にも立つ著者ならではの実用的な書と言えるだろう。また同時に「おはなし」を色々な角度から眺めて見る雑学的な楽しみを提供してくれるエンターテイメントの書でもある。


 ところで、本書とは関係ないが、「おはなし」と聞いて私の頭から離れないのは、『ノーライフキング』のあとがきでいとうせいこう氏が書いた「僕は呪われ続けたのだ。『小説を書くな。お話を書け。~略』と。」という言葉。では小説とは何なのか?
 
 いとう氏は続けて、次は小説を書くつもりでいること、それが『ワールズ・エンド・ガーデン』であることを書いているのだが・・・

 私には未だに理解しきれない言葉なのだ~。 

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2008-04-09

猫だましい : 河合隼雄

 「たましい」というものを改めて考えてみても良いのではないだろうか、と河合隼雄氏は私たちに語る。「たましい」は「魂」とはちょっと違う。「スピリチュアルなんとか・・・」というアレとも違う。


 世界創生の神話が、天と地を分かつことから始まるという例に見られるように、混沌の中から何かを分離し取り出す、境界の判然としないものをはっきり切り離し、区別し、把握するという所から人間の意識は生まれた。

 近代になって人がついに「心」と「体」を切断して、強固な自我を獲得するに到って、一方で分離、切断によって生まれる影の部分が現れるようになってきた。

 人間という連続した存在を、ひとたび「心」と「体」に分けてしまうと、その途端に全体性は失われてしまう。もう一度、切断した「心」と「体」をくっつけたところで、元通りには戻らない。人間を「心」と「体」に分けた途端に失われるもの・・・言うなればそれが「たましい」ではないかと河合氏は考える。

 「無いもの」「失われるもの」を思い描くのは難しい。そのため河合氏は、私たちの身近な日常に、また物語に登場する猫を方便として使う。(「猫だましい」というタイトルには、「たましい」と「騙し」がかかっているのです。)


 平和に眠る炬燵猫。古代エジプトの神であった猫。虎やライオンに通じる、獰猛な狩猟者の本能を持つ猫。束縛を嫌い自由気ままに振舞うかと思えば、身をすり寄せて愛好者の心をとろかす猫。知恵と策略で主人に大きな富をもたらす一方で、恩を受けた主人を残忍に食い殺すこともあるおとぎ話の猫。化ける猫。

 変幻自在で、矛盾する属性をも平然と同居させる猫のありようを「たましい」の顕現と見て、古今東西の物語に登場する猫たちのふるまいを観察する。

 河合氏がひいてくる物語はどれも魅力的なのだけど、一番好奇心を刺激されたのは「長靴をはいた猫」の読み方。猫はなぜ長靴を履いたのか? 長靴をはいた猫が手袋までつけたらどうなるか?

 
 マンガ界からは大島弓子の「綿の国星」が代表選手として選ばれているが、「綿の国星」ってほんとよく評論に取り上げられるマンガだよなぁ。マンガで言えば・・・内田善美の「草迷宮・草空間」に出てくる日本人形の女の子(いつか人間になると思ってる)も“ねこ”と呼ばれ、これはもうはっきりと作中に「魂」というテーマが現れる。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」もアニメ化の際、登場人物たちが猫の姿で描かれた。

 猫をからめて語られる物語をこれだけ続けざまに見ていると、猫が「たましい」を語る方便だったことを忘れて、“なぜ「猫」なのか?”というところにまた興味が向かってしまう。これはまた違う分野の仕事になるんだろうけど・・・。

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