2017-09-09

関ヶ原

『関ヶ原』 監督:原田 眞人

 とにかく平岳大さんの島左近がカッコ良すぎた。渋すぎた。美しすぎた。

 この映画の何が見たかったかって、「岳大さんの島左近っ!」だったので、期待どおりの素敵っぷりに大満足。胸いっぱい。


 ・・・で、島左近はおいといて映画としてどうだったかというと・・・・・・一人一人の俳優の演技はいいし、関ヶ原で激突する武将たちの人物像もいろいろと作りこまれているんだけど、その人物たちが集まって生まれるべき大きなドラマの流れというかうねりが弱い。細部にいろいろ詰め込んだ結果、全体が散漫になってしまってる気がする。

 西軍を率いる石田三成~岡田くんが丁寧に演じれば演じるほど「やっぱり家康と天下を争う器じゃない人」になる気がする。個人的な理想と誠をつらぬく「義」の人ではあるけれど、大勢の人に向かって「正義」をぶち上げるほどの曲者ではないもの、三成。関ヶ原の戦いってきっと「正義」vs「野望」なんて単純な構図ではないんだろうに、そういうフレーズを宣伝文句にしてしまったのはせっかくの作品の質を損ねているような気がする。

 あと、皆さんお国訛りが凄すぎる上にしゃべりがマシンガンなんで何言ってんのかわかんない=何が起こってんのかわかんない。この映画観に来てるのは殆どが歴史好きの方であろうから、少々台詞が聞き取れなくてもどういう場面なのかは了解しておられるのだろうが、私は加藤清正ら七人党と三成のいざこざのくだりなんて、去年『真田丸』観てなかったらわかんなかったと思う。

 ・・・てな感じで、多少の不完全燃焼感はあるんだけど、もう一回、島左近を見たいなぁ~。あと、近いうちに原作も読みたい。

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2016-08-27

シン・ゴジラ

『シン・ゴジラ』  監督:庵野秀明

 かつてゴジラ映画に夢中になった少年であり、今もゴジラを愛するおじさまである私の絵の先生が「良かった」とおっしゃっていたので観てみる気になった。

 「ゴジラ」にはたいして興味がなく、私にとって「ゴジラ」とは半ば「商品化されたキャラクター」だった。が、この作品の中のゴジラは「わけのわからない怖いもの」だった。ゾッとした。

 以前、山本弘の小説『MM9』の感想にこんなこと↓

 『人智を超えた怪しいものが人間世界に侵入し人々をパニックに陥れる「怪獣小説」としても、「気特対」職員たちの日々の活動と奮闘ぶりを描いた「お仕事小説」としても、「怪獣」という存在をいかに説明づけるかという「SF小説」としても面白い。』

を書いたが、『シン・ゴジラ』も「わけのわからない圧倒的恐怖」を描いた「怪獣映画」であり、政治家たちや自衛隊、米軍の仕事ぶりを描いた「お仕事映画」であり、「ゴジラ」を科学的に理屈づけた「SF」であり、自分の知識と能力に自負を持つ普段は煙たがられてる専門家(オタク)たちの活躍ぶりが痛快なエンターテイメントであり、複合的に面白い作品だった。さらに、SFと神話的、観念的な世界が近接してる風味があとをひくというか・・・。

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2015-12-12

ラスト・ナイツ

『ラスト・ナイツ』 監督:紀里谷和明
 
 「忠臣蔵」を題材にした映画というからかなり楽しみにして観にいったんだけども、なんとも大味・・・というか「粗筋だけ」の映画だった。

 「不義と不正を憎み、腐敗した帝国の慣習を受け入れることを拒んだために残酷な刑を受け命をおとした誇り高き領主。主亡きあと、彼に仕えた騎士たちは市井に身を潜め苦難に耐えつつ、自らの誇りと名誉そして騎士の掟にかけて強大な権力に挑み報復を果たす。」っていう、本っ当にそれだけのお話し。登場人物も類型的で新味がなく、キャラクターの深い掘り下げがされるわけでもなく、サイドストーリー的なふくらみがあるわけでもなく・・・。

 そして何より世界観が粗い。『GOEMON』の時にも感じたことなんだけど、カメラに写っている部分しか世界がつくられていない感じ。本編を見る限り物語を覆う世界の全体像が感じられない、迫ってこない。


 ・・・まあ、2時間弱の上映時間ではストーリーはかなりシンプルなものであろうことは、実は予想していたというか、それはそれで良いと思っていたのだ。その分、映像の美しさでこの物語の美意識を表現し、気持ちを高揚させてくれることを期待していたのだけど・・・。特に騎士たちのアクションや所作はもっと様式美的に美しいものであってほしかったな。

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2015-10-31

屍者の帝国

劇場版アニメ『屍者の帝国』 監督:牧原亮太郎

 今年の私の夏はすっかり『屍者の帝国』に支配されてた。文系脳ではうまく読めなかった気がする物語を少しでも理解するために理系本を読んだりして・・・。


 テレビに流れる予告CFを見た時から、「小説とは別物なんだな」とわかってはいたのだけど・・・ひと夏を費やしてもまだ消化しきれていない物語をもう一度味わいたいという気持ちにひきずられて、公開終了間際に観に行った。で、かなり満たされない気持ちで帰ってきた。

 ワトソンたちと旅を共にし通訳と記録を担当する「言葉」に能力を特化した屍者・フライデーや、ワトソンを屍者の一群を率いるカラマーゾフの元に導くロシアの諜報員・クラソートキン・・・私の頭の中では、きっちりと髪を撫でつけた有能で落ち着いた青年の姿をしていた彼らが、頼りないくらい華奢な身体に金色の巻毛をふわっふわさせた有能だけども癇のつよそうな少年(子供)にしか見えないことに、まずは違和感を感じる。でも、まぁこれは、想定される観客の年齢層より私がかなりトシくってるってことなんだろうと諦める。

 小説では、「追うごとに姿を変える謎」が屍者技術の秘密を追う旅の推進力になっていたが、映画ではそれがワトソンの「フライデーへの執着」になってしまい、物語がずいぶん単純化されてしまったような気がする。でも、まぁそう思うのも、想定される観客の年齢層より私がかなりトシいってるせいなのかもしれない。

 ただ一つ、私の年齢問題云々にかかわらず残念だったのは、「旅」の描き方。ヴィクター・フランケンシュタインの遺した「ザ・ワン」「ヴィクターの手記」を追い世界中を駆けるワトソンたちの旅、フライデーがワトソンたちと時間を共にする長い長い旅・・・。その「旅」こそがこの物語の重要な要素だと思うのだけど、この映画では、登場人物たちは「移動」はするが「旅」はしていない。出来事よりも道のりを丁寧に・・・もっと「ロードムービー」としての風情が欲しかった。


【過去記事】
『屍者の帝国』感想・・・http://neconohitai.blog71.fc2.com/blog-entry-726.html


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2014-03-15

劇場版 TIGER&BUNNY - The Rising

 TVシリーズは見ていないので、動いて音の出る『タイバニ』を見るのは『The Beginning』のTV放映を見たのに続いて2回目。もちろん、見どころは色々と♪あるんですが、まずシンプルにヒーローアクションものとして面白いのねぇ~。

 ファイアーエンブレム・・・トラウマ克服のくだりは見ててちょっとムズムズしたけど、能力発動シーンはやっぱカッコいいわ。予告編を見て惚れ惚れしてたのよ。で、「オカマは最強!」はいいとして、「強い男の人」とか「優しい女の人」っていうのは、私、見たことがないような気がするよ、パオリン。

 新キャラクターのライアン・ゴールドスミス・・・彼、すごくいい奴でした。状況判断は的確だし、力もあるし、バーナビーとのコンビでの戦い方も心得てるし、虎徹と離れてカリカリしてるバーナビーを上手く受け流しつつ、きっちり成果を上げる大人力も持ち合わせてるし。バニーちゃんより年下なのに。あの、ちょっと鼻持ちならないキメ台詞も彼の能力の特性からして必然的な演出でしょ。職業ヒーローとして、すごくプロ意識高い方とお見受けしました(それプラス、バーナビーの自主パトロールにもちゃんと同行してるしね)。私、彼、好きです。このままヒーローTVで活躍してくれればいいのに。オレ様キャラがいてもいいじゃん。

 このトシでアニメ映画観に行くのはちょっと、いろいろと・・・アレだったのですが・・・『それも含めて自分』、てね。

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2014-01-25

利休にたずねよ

「利休にたずねよ」 監督:田中光敏

 中谷美紀の美しさったら、もう。地を擦るような身のこなし、年老いて腰を曲げて歩く姿にさえ漂う気品、壮絶な美しさ。利休の心にかなう完璧な妻であり続けた彼女のプライド。

 利休・・・何と勝手な男であることか。勝手に美しいものを見つけ、勝手にそれに殉じてしまった。彼の傍にあって、満たされない思いとつき合わされ続けた妻や秀吉は・・・。利休は誰のためにも決して自分の領域を汚すことがなかった。

 利休を見ている間は彼がどういう人物であるのか、何だかよくわからなかったのだが、ラストの大森南朋演じる秀吉の表情を見て、「ああ、利休はそういう人だったのか」と、ようやく利休という人物の一端に触れたような気がした。


 武野紹鴎と与四郎~團十郎さんと海老蔵さんの対話のシーンには、胸と目頭がどうしようもなくなっちゃいましたねぇ・・・。

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2011-01-29

シネマ歌舞伎 『わが心の歌舞伎座』

 役者、お囃子、附け打ち、大道具、小道具、衣装、床山、狂言作者、楽屋裏の人々・・・ それぞれの人が、それぞれの場所で、それぞれの仕事を、日々怠りなく勤める ~そうして動き出す「歌舞伎座」は、建物というよりも生命を持った大きな生き物のようであり、そんな人々の日々の営みを内に抱いた一つの町のようでもあり・・・。そうした場所に観客として足を運ぶことのできた幸せを感じます。

 繰り返し、それでいて日々新しく、滞ることなく流れ、連綿と受け継がれる・・・歌舞伎に携わる人たちの長い長い営みを思わせる映像。それぞれの場所で静かに、熱く、真摯に自分の職掌を全うする人たちの姿が印象的でした。


 この劇場でお芝居を観たのはほんの数えるほどの回数でしかないし、この場所に格別の思い入れを持っているというわけではないけれど・・・ いつか、この歌舞伎座でお芝居を観たということを、何らかの感慨をもって思い出す日が来るのかなぁ。




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2009-05-30

GOEMON

「GOEMON」 監督:紀里谷和明

 信長役の橋之助さんが・・・よ、予想以上にカッコイイ!!!!!

 西洋風の甲冑を纏う姿、無造作っぽく計算されたヘアスタイル、穏やかな目に漲らせた底知れない強さ。王者の気品と風格、鬼神の殺気、威圧感! テレビ・舞台・・・これまで見た橋之助さんの中で一番カッコイイ。惚れ惚れ。

 人の顔や体の何処をどう隠して、どういう風にプロポーションを作るとキャラクターとして色っぽくなるか・・・橋之助さんだけでなく、登場人物たちの衣装、実に細かく計算されてる感じ。俳優陣も、衣装に負けぬ堂々たる見栄えの人たちばかり。特に、千利休・平幹二朗・・・存在感が独特で、何かもう、画面に映るだけで震えがくる。

 作り物っぽい景色は大好きなので、国籍も時代もミックスされたような空間にはワクワクさせられたんだけど・・・ 細部は細かく描き込まれてるものの、その映像によって全体としてどんな世界観を構築しようとしているのか・・・私には解りづらかった。


 肥大する欲のままに突き進む者。己の弱さの為に、大きな悲しみに遭う者。自分の活きる場所を見つけられずにいる者。そんな者達のあふれる中で、自由を求めた五右衛門。大盗賊石川五右衛門の正体、真の姿を新たに描くことで語りなおされる、織田信長、豊臣秀吉、石田三成、徳川家康らの天下取りの戦い。

 歴史と虚構が縦横にからまる。人々が幸せに暮らす、戦の無い世界への願い。未来へ託す希望。~前作「CASSHERN」では、「人はなぜ争うのか」というテーマの提示のされ方があまりにもストレートすぎると感じられる部分もあったけれど、「GOEMON」は、戦国の世を舞台としたことで、テーマがストーリーの中に自然に溶け込んだんじゃないかなぁ?

 でもね、私は「CASSHERN」の方が好きだなぁ。

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2009-05-27

THE CODE/暗号

「THE CODE/暗号」  監督:林海象

 そもそものきっかけは佐野史郎だった。映画「帝都物語」で異様な存在感を振り撒いていた佐野史郎に一撃で夢中になってしまい、彼の初主演作だという「夢みるように眠りたい」を探し求めたのだ。それ以来、林海象作品のファンにもなった。「二十世紀少年読本」「ZIPANG」「濱マイクシリーズ」・・・。


 「探偵事務所5」シリーズはネット配信分もあまり見ていなかったのだが・・・林海象監督の映画、やっぱり好きだ。
 
 品の良いノスタルジーと、鼻の奥にツンとした哀しさを残す可笑しみ。


 暗号解読のプロセスをじっくりと楽しませてくれる話かと思っていたが、暗号を解くことよりも、「暗号解読者(もしくは人類)にとって暗号とは何か」という問題がキーになっていたようだ。

 ヒロインの稲盛いずみ、とても奇麗だったけど、不幸を笠にきたワガママ女ぶりには、ちょっと感情移入できない。むしろ、女優より睫長くてバッサバサの菊之助に見蕩れる。

 古風でありながら何処と無く人工的な感じもする菊之助の容貌は、林海象作品に良く似合う。(古風かつ人工的という同じ理由で、鰐淵晴子、佐野史郎も林作品にはやはり欠かせないと思う。)

 菊之助も良いのだけれど、私が胸をギュっとつかまれたのは宍戸錠!

 隠しようもないほどに老いていて、動きに覚束ないところはあるし、目にも往時の(と言っても、私は氏の往時を知らないが)強さは無い。それでも、白いスーツを着込んで、ガンベルトを腰に巻き、あくまでも格好良い男を演じるのだ。スクリーンの中と外を超越した存在・・・「エースのジョー」というプライドと使命を背負った老俳優の放つ残照の前では、若い役者たちの光も翳んでしまう。

 物悲しいけれど、輝いていて、愛しい・・・林海象作品のテイストを一身に背負ったような役だった。

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2009-01-21

禅~ZEN

「禅~ZEN」 監督:高橋伴明

 良い映画でした。


 某美容整形外科のCMでは、現状に納得できないらしい女性が、

 「自分が嫌いなんて悲しすぎない?」
 
 と問うた後、

 「自分で決めた自分でいたいの。」

 と決意表明をして私をイラつかせるのだけど、「あるがまま」を見る苦しさと、そうすることでしか得られない平安を説く道元禅師の言葉は厳しく、また優しく、静かな救いを見せてくれるのだ。

 “ああなりたい”“こう在りたい”と願うことは人の心の美しい在りようではあるけれど、その願いに囚われて、あたりまえにあるものをあたりまえに、そこにあるものをあるがままに見ることができないというのは、美しいはずの人の心が持つ暗黒面でもあるのだな。

 在るものをあるがままに見る。その為にただ坐る僧たち~美しい禅の作法や立居振舞い、そういうものを描く映像の中で、勘太郎さんはごく自然だった。その自然さが、道元の言葉にぴったりと添うものだっただけに、所々に使われた(道元の大悟の場面や、月の演出など)CGは、ちょっとこの映画にそぐわない気がしたのだけど・・・。


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