2012-04-07

逃げる男 : オノ・ナツメ

『逃げる男』 オノ・ナツメ

 ひとときの「避難」を必要とする人と、それを受け入れる森、「逃げる人」とともにある熊。シンプルなだけに、色んな深読みや自分に引き寄せた読み方のできるお話しだと思う。

 しかし、ほとんど絵だけで読まないといけない割に、何が描かれているのか・・・オノ・ナツメさんのザクッとした描線では描かれたものの姿が詳細に見てとれなかったりもする。私の眼力のなさのせい、もしくは作品とのシンクロ度の低さのせいもあるけど。

 二、三度読み返して、私の中にポッと灯ったのは「スーツ萌え」という言葉だったり・・・(それがふさわしい言葉かどうか自信がないが)。

 森を出ていく男が再び身に着けたスーツ・・・そのスーツ姿は実にいろんなこと~これまでとこれからの人生、そこで費やされた想い、スーツという衣服が持つ社会性を背負うということ・・・~を語っているようで色っぽかったので。




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2010-10-16

さらい屋五葉 : オノ・ナツメ

『さらい屋五葉』 オノ・ナツメ

 ああ、終わった。

 剣の腕はたつものの気が弱すぎて何もできない浪人・秋津政之助と、凄みの中に大きな余裕を漂わせる不思議な男・弥一の出会いから始まったこの物語。不穏な空気が漂う中盤の息苦しさに危うくギブアップするところだったが、最後まで読むことができて良かった。

 第八集表紙の政之助~何か大きなものを捨てて、少し汚れて、しかし揺るがない何かを得たような凄みと色気のある表情。第一集の気弱げな上目遣いからのこの政之助の変貌が物語の顛末を一番雄弁に語っているのだろう。

 拐かしを生業とする五葉の一味であった弥一。なりゆきでずるずると巻き込まれていく政之助。戸惑いながらも五葉は政之助のかけがえのない“居場所”となり、それぞれに事情を抱える五葉の面々の間にも絆らしきものが芽生え初め・・・

 政之助だけでなく、皆の居場所となりつつある五葉に影を落とす弥一の過去。

 せっかく穏やかに凪ぎかけた五葉の面々の心を不穏な黒雲が覆っていくのを感じるのも、追い詰められ、壊れ、汚れる弥一を見るのも辛かった。辛い時間は長かった(まるまる四巻分くらいはずっと辛かった)。しかしそれだけに、悲しくもちょっと甘すぎるくらいの結末が傷にこっくりと沁みていく。


 こういう結末で収めるなら、やはり物語の時が動き出す“見初め”のシーンは大事だろう・・・と、弥一と政之助の出会いの場面を読み返す。そんなにあざとい演出は施されていなかったけど、やはり弥一の表情と、どうみてもヤバイ人・弥一がさしだす団子は印象的。

 

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2009-04-11

GENTE~リストランテの人々 : オノ・ナツメ

 「リストランテ・パラディーゾ」の外伝シリーズ。

 老眼鏡紳士がおもてなし ~ 訪れる人を優しくもてなしてくれるリストランテ。幸せの源。そこに行けば、いつも“それ”があると思える安心感。「カゼッタ・デッロルソ」で働く紳士たちと、リストランテを訪れる人たちのお話。

 ストレートに人を愛し、人生を楽しむ人。不器用で、自分の望むことをなかなか伝えられない人。想いはいつも簡単に伝わるわけではないけど、人との関係を作りつづけることをあきらめない。そんな、長い人生を経てきた「大人」の横顔、背中、眼差し、涙。

 不運も、失敗も、苦い思いもあったけど、人生に対しては肯定的で、今を楽しんで、大切に思うものがあって。堂々と、そしてひっそりと恋をして・・・。

 大人であることをこんなに素敵にみせてくれるコミック作品があって嬉しい。

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2008-01-23

Danza : オノ・ナツメ

 閉じていた心を開いて、これから緊密で、暖かく、幸せな関係を作っていくには、抱えている屈託が大きすぎる。心に抱えている屈託は、もう私の大事な一部だから。

 でも、“憎んでいるのではないよ”と、大切な人へ指先をさし伸ばし、わずかにつなぐ。

 
 多くを語られないけれど、眼差しに込められる心からの親愛と信頼。


 器用ではない男たちの心の揺れ、交流、交感。オノ・ナツメさんの絵でなかったら、こんな感じで伝わることはないと思う。

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2007-12-22

not simple : オノ・ナツメ

 「・・・歩いていると、よく親切な人に出会う。今ここにこうしていられるのは、その人たちのおかげだと思う。あたたかいよね。本当に感じたいのは、もっと近くにいる人たちからのぬくもりなのに。」

 姉を探して旅をする青年イアン。ただ求めたのは家族の温もり。ひたむきに、最善を尽くして生きてきたのに、全くツキに見放された彼の人生。“映画にすればウソっぽく見える”ほどすごい(最悪の)彼の人生。

 まったく、イアンの人生は悲惨な現実の連続だけど、決して彼の周りに不幸と悪意ばかりが溢れているわけじゃない。結局イアンの望むようにはならなかった彼の家族だって、身勝手な人たちではあるけど、極悪人な訳ではなくて、どこかにイアンに対する愛は持ってらしい。ただ、イアンの求めるものと、イアンに与えられるものはいつもいつも、うまく一致しない。

 イアンの言うように、旅の途中には優しい人たちもいたし、心惹かれる女性にも出会った。イアンの側で彼を見守り続ける友人もいる。イアンが最後まで求め続けたのが“家族の温もり”でなかったら・・・あんなに寂しい終わり方ではなかっただろう。

 イアンのまわりの優しい人たちは結局、イアンに“関係のある”人にはなりきれなかった。イアンが求める人はイアンに応えず、イアンを求める人にイアンは答えられず・・・すれ違う“関係”っていうのはやりきれない。

 表現する上でギリギリ必要かつ生命線ともいえるラインをはずさず、シンプルでありながら雄弁な描線で描くオノ・ナツメさんの絵って、ウェットな表現を極力廃してあるがゆえに、それがもう卑怯なまでにやりきれなさを増幅させるのです・・・。

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2007-09-01

リストランテ・パラディーゾ : オノ・ナツメ

 おお~~~! 紳士だ! 紳士!! あっちもこっちも紳士! しかも老眼鏡の!! 枯れているのに色っぽい! うわぁぁぁ~!!! ・・・と、ちょっと平常心を失ってしまいます。


 リストランテ「カゼッタ・デッロルソ」の従業員は老眼鏡の紳士限定!・・・これ、オーナーの奥様の趣味。仕事と恋に生きる奥様は、21になる娘のことをオーナーにはナイショにしてる。(バツイチの彼女は娘を祖父母に預け、オーナーのもとに走ったのだ!)

 母親の秘密をばらすつもりでリストランテにやってきた娘・ニコレッタ。何となく母のペースに巻き込まれ、秘密をばらすことができないままにリストランテの仲間に。紳士達の優しさに触れ、生き生きした母の姿を見て、自分も恋をして・・・だんだんと色んなことがわかってくる。

 みんな人生のすっぱいところも知っていながら、ひねこびず、自分なりに対処して、他人には溢れる思いやりで接して・・・。器用じゃないとこもあるけど、素敵な人たちばかりのお話。なんだかほっとします。

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2006-12-23

LA QUINTA CAMERA ~5番目の部屋~ : オノ・ナツメ

 明日はイブだし、何かクリスマスに合う本を・・・私の手持ちの中では、これがオススメです。

 イタリアのとある町、アパートの部屋をシェアして共同生活をする4人の中年?男たちと、余った5番目の部屋にかわるがわる下宿人としてやってくる国籍も性別も年齢もまちまちな留学生のふれあいを点描する短編連作。クリスマスの街やマーケットの様子も日本のお祭り騒ぎ具合とは一味違う、あったかい雰囲気で描かれています。

 今年の夏、本屋の店頭でこのコミックに出会って、すっかりオノ・ナツメさんの絵のファンになってしまいました。洗練されたシンプルなラインで造形されたキャラクターは、頭の大きなマスコットのようなプロポーションながら、どこか色気があります。

 お話の方も書き込みすぎない感じで、セリフとコマの行間の余韻を楽しませてくれます。しゃれた映画を観ているようなテイスト。

 同じくオノ・ナツメさんの「リストランテ・パラディーゾ」も激しくオススメです。

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